金(きん)はまだ買い!2025年に3000ドル到達も。金利が付かないのに値上がりするワケ
日本銀行が17年ぶりに利上げを実施。「金利ある世界」が復活した。『週刊東洋経済』12月21日号の特集は「今さら聞けない金利の話」。金利上昇がもたらす企業や経済、生活への影響を分析。金利に関する“キホンのキ”も詳細に解説している。 【図解】金急騰の裏には7つの材料がある 本稿では「金利がつかない」のに、史上最高値の1トロイオンス2800㌦まで達した金(きん)について、急騰した背景や今後の予測を解説する。 なぜ金利のつかない金(きん)の価格がこんなにも上がっているのか。
2024年10月末にニューヨーク先物市場では、金の先物価格が初めて1トロイオンス当たり2800ドルを記録した。2023年末にはまだ2070ドル近辺だったので、年間最大の上昇幅は一時730ドルにも及んだことになる。 記録をさかのぼれる1975年以降の年間最大の上昇幅(当年最高値-前年終値)は、これまで、コロナ禍だった2020年の566ドル。今年の上昇幅がいかに大きいかが実感できよう。 突出した上昇となった2024年は緩やかな超長期上昇トレンドの頂上に位置する。2000年ごろの先物価格はまだ270ドル程度で、当時の価格が今に続く超長期上昇基調の始まりだ。
■今年は年間最大の上昇幅730ドルを記録 2008年秋のリーマンショック直前に1000ドルに達し、その後やや反落するが、同ショック後には再び勢いを伴って上がり、2011年には1900ドルに至った。それから2019年前半まで大きなレンジで高止まりして、後半から再び上昇傾向が鮮明になる。 コロナ禍に入って2020年には初の2000ドルを達成。1900ドルを挟み高原状態が数年続いた後、2023年半ばから再び上昇が始まったのである。
これらの記録的な上昇を支える材料は決して1つではない。しばしば「有事の金」という言葉を見聞きするが、これは1970年代後半に生まれた過去の常識だと、筆者は認識している。 確かにあの時代はオイルショックなど、大規模な有事が同時発生し、一時的な急騰が起きた。1978年から1980年までの約3年間、上昇幅にすると、約700ドル(150ドル近辺から850ドル程度までの上昇)。世界を震撼させる有事が同時多発しても、数年間で700ドル程度しか上昇しなかった。