そりゃ辞めるわ…部下がポロポロ離職する上司が無意識に言っている「NGワード」とは?
「スキルを身に付けたい」「お金のため」「目的を見つけるため」――どんな理由にも成長実感はいい影響しか及ぼしません。スキルを身につけることは、言い換えれば、成長すること。成長できれば、昇給につながります。目的を探す上でも、成長から得られる発見があると思いますし、できることが多ければ選択肢も増えます。 仕事柄、いろいろなビジネスパーソンの方とお話ししますが、「転職を考え考えていない」と話す人は、「今の会社や環境は成長できる」と考える点で共通しています。 受付嬢として勤めていた会社の一つに、とても離職者が少なかったところがありました。いろいろな社員の方に、「この会社ってみんな辞めないですよね!?」と話したことがあります。 「給与が高いとか福利厚生がいいとか、条件がいいんですか?」と聞くと、「上司が優秀で、この人と一緒に働くことで成長できると感じているから」だったり、「会社自体が成長フェーズで、その環境に身を置くことで自分も成長できると感じるから」と答える人が多かったです。私も、自分の会社を経営する上で、こういう成長を実感できるチームや組織にしていきたいと思いを持つ源泉になったエピソードです。 ● 変更があったときの伝え方で メンバーからの信頼度は変わる 一方、成長を実感できないチームはやはり離脱者が多いです。 成長を実感できないチームでよく起きていること。それは、「上司の考えがコロコロ変わること」です。 もちろん、企業が成長する上では、変化は必要不可欠です。マネジメントには変化に対応する力が求められます。柔軟に考え方を変えたり、戦略をチューニングしたりする必要があります。ただ、チームメンバーにやり方や方針を変更する際には必ず、ロジックや根拠の説明がセットでなくてはありません。
デキる上司は部下から聞かれる前にきちんと根拠を説明をした上で、変更点を説明します。しかし、離脱者が多いチームの上司は変更点のみを説明し、背景を問う部下に対して、「いちいち説明する必要があるのか」とか、「上司である自分の言うことを聞いていればいいんだ」といった返しをしてしまいます。 チームで動いている以上、部下も納得感を持って業務に取り組みたいはずです。上司のために働いているわけではありません。こうした気持ちをしっかりと汲み取れるかどうか、これが離職者の多いチームと、少ないチームの決定的な差だと思います。 離職を防ぐために、目の前の社員の機嫌をとるのは、根本的な解決につながりません。上司と部下の間において、「機嫌」という軸でコミュニケーションをしてしまうと、前述のエピソードでも触れたように、いつかその関係は破綻してしまうと思います。目の前の一人ひとりの顔色を伺うのではなく、長期的な成長を見せていくことが重要です。この会社で働くこと、チームで働くこと、自分と働くことで、具体的にこんな成長を描けるのかといったビジョンを見せていくのです。 お金で魅力付けし、採用した社員はお金で去ります。働き方で魅力付けし、採用した社員は働き方で去ります。目先のメリットで気を引こうとしてしまうと、本当に「この会社で働きたい!」と思う人を採用することができません。 成長し続ける企業というのは、中長期的な成長目標を掲げ、それをしっかりと従業員に浸透させ、個人の成長を描くところまでを徹底することで実現できるのだと思います。
橋本真里子