なぜラグビー日本代表はW杯日本大会では勝利したスコットランドに20-29で惜敗したのか?
ワールドカップ日本大会で8強入りを果たした日本代表は、今年に入って約1年8か月ぶりに活動を再開させたばかり。9月下旬の候補合宿から再始動し、10月23日には昭和電工ドーム大分でオーストラリア代表に23ー32で屈した。その後、欧州ツアーに出て、11月6日にダブリンのアビバスタジアムでアイルランド代表に5ー60と完敗。13日に世界ランクで9つ下回るポルトガル代表と38―25と打ち合う羽目になった。そして、このスコットランド代表戦の惜敗。 攻守に輝いたリーチは、「改めてアウェーで勝つのは難しいと感じた。(敵地では)相手は簡単に折れない」とツアー全体を総括した。 「日本代表は優れた選手を擁しているけど、タレントが揃ったチームじゃない。その分、感情を入れ込まないと勝てないと改めて思いました。特にアイルランド代表戦では最初から圧倒された感じがあって…。今回のツアーでは、(選手個々、チーム全体で)日本代表に対してのプライド、パッションを磨いてきた。それで今回のパフォーマンスができたと思います」 上位国との対戦で勝てなかった背景には、実戦不足があった。ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチはそう言いたげだった。 「激しいラグビーをする機会をどう取り返すかが重要です。勝つための魔法のレシピはない。長い準備期間を経てラグビーをしていくことで、我々は成長できる」 2020年にパンデミックが起きてから、テストマッチができたのは今回で6試合目。アイルランド代表、スコットランド代表が毎年2、3月の欧州6か国対抗を再開させていたのとは対照的だ。 日本代表の歴史的背景だけを鑑みても、ワールドカップ日本大会以前のチームはサンウルブズというクラブのスーパーラグビー(国際リーグ)参戦を活かして経験値を醸成していた。 だが、現在は、そのような機会を失い、代表選手たちは今後、2022年1月に発足の国内リーグワン、海外クラブとのクロスボーダーマッチ(開催可否は未定)など限られた機会で試合勘を積み重ねなければならない。 ただ、リーチは、今年代表デビューした選手たちの「トライアル・アンド・エラー」があったことを収穫とした。 「ジャック(・コーネルセン=ロックでこの秋4試合に先発)、ライリー、シオサイア・フィフィタ(今年全試合にウイングで先発)、タタフ、(スクラムハーフで台頭した齋藤)直人、(アウトサイドセンターで2試合連続先発の中野)将伍…。たくさんの選手がジャパンや世界のスタンダードを感じた1年になった。ここで感じたことを踏まえ、次のリーグワンで自分の課題を見つけ、次に代表に合流した時にワンランク上がるようになったらいいと思います」 今後、日本代表は、国際経験をどう積み上げられるか。ワールドカップのフランス大会は2年後に迫っている。フィールド内外での強化の動きに注目される。 (文責・向風見也/ラグビーライター)