ニシボリックサス? プレッシャーウェーブSC?? 世界初!? 革新的だったけどいつのまにか消えたクルマの「がっかり技術」3選
■セドグロ、V35スカイラインGT-8のエクストロイドCVT
自動車の速度はエンジンの回転数とギヤチェンジによって調整される。現在の日本でメジャーなのは自動的にギヤチェンジを行うオートマチックトランスミッションだ。こちらはトルクコンバーターという機構を使うシステムだが、無段階変速が可能なCVT方式を採用したクルマも多い。 "トルコン"式に比べてCVTでは変速時のショックがほぼなく、燃費が良いなどのメリットがあり、コストも抑えられるために軽自動車でも数多く用いられている。しかし、エンジンパワーが大きくなると効率が落ちるなどの問題もある。現在はCVTのステップ制御によってだいぶ伝達効率やドライブフィーリングも向上している。 こうした問題を解決するために生み出されたのがエクストロイドCVTだった。1999年11月に発売されたセドリック&グロリアに採用されていたのがこのエクストロイドCVT。価格は300LX-Z Sパッケージ(セドリック)の477万円とATモデルよりも50万円高となった エクストロイドCVTの基本メカニズムとしては、変速機の中心はディスク(入力&出力ディスク)とパワーローラーから構成される。エンジンの動力を受けた入力ディスクの回転は、パワーローラーから出力ディスクへと伝えられる。パワーローラーの傾きを連続的に変えることで、滑らかな無断変速を行う。 従来のベルト式CVTとは異なり、ディスクとパワーローラーによって動力を伝達するのが特徴。それまでのCVTの弱点だった大排気量&高出力にも対応し、素早いレスポンスと滑らかで力強い加速を実現。さらに従来のオートマ車に比べて約10%の燃費向上も達成していた。 ここまで見る限りでは理想的なトランスミッションに思えるエクストロイドCVTだったが、最初の問題は製造コストで、部品点数が多く複雑な構造になるエクストロイドCVTはどうしてもこの難点を解決できなかった。 また、複雑ゆえにその取り扱いもデリケートであり、高価な専用オイルが必要なこと、そして故障の際に部品交換ができず、トランスミッションを載せ換えなくてはならないことなど、問題点は多かった。 鳴り物入りで登場したエクストロイドCVTだったが、上記の問題は根が深く、1999年にY34型セドリック/グロリア、2002年V35スカイライン350GT-8に搭載するも結局2004年をもって生産を終了。予想外の短命に終わってしまった。