ラグビー日本代表候補の早稲田大・佐藤健次が夢見る「荒ぶる」合唱 目標まであと1勝
【勝因はスクラムとフィジカルバトル】 大敗した悔しさを晴らすべく、早稲田大が新チームを始動させたのは1月9日。敗因となったスクラムを強化ポイントに掲げ、仲谷聖史コーチとともに練習を重ねた。その結果、関東対抗戦では帝京大や明治大ともスクラムで互角に戦えるようになった。 ただ、京産大はスクラムで変則的な組み方をしてくるチーム。早稲田大にとって相性がいいかどうかは、フタを開けてみないとわからない。No.8からHOに転向して3シーズン目の佐藤は、スクラムで京産大に勝てた要因をこう話す。 「8人でまとまって、いいヒットで前に出ることにフォーカスした。相手の3番のバインド(味方同士がガッチリと組み合うこと)が少し特殊なので、チームメイトがその組み方でずっと練習してくれた。それがいい経験になってスクラムを押せました」 前半7分にラインアウトからのサインプレーから挙げたLO栗田文介(3年)のトライや、前半15分のCTB福島秀法(3年)のトライは、それぞれスクラムで相手から反則を奪って得たチャンスを結びつけた形だ。 また、京産大から2度コラプシング(スクラムを故意に崩す反則行為)を誘ったプレーも、早稲田大FW陣の「押し」があったからこそ。「(優勝して)フロントローで仲谷さんを絶対に胴上げしようと話しているので、そのために(決勝では)スクラムをもう一段階がんばります!」(佐藤) そして勝因をもうひとつ挙げるならば、ディフェンスで相手のキーマンを止めた「接点でのフィジカルバトル」で京産大を上回っていた点だろう。 今季の京産大には、関西リーグで14トライを挙げてトライ王に輝いたNo.8シオネ・ポルテレ(3年)を筆頭に、トンガ出身のLOソロモネ・フナキ(4年)とフィジー出身のCTBナブラギ・エロニ(2年)という強力な外国籍選手を擁している。彼らを前に出してしまうと、試合の流れを握られてしまうことは明白だった。 この3人のプレーに対し、今季1試合平均8.4失点しか許していない早稲田大ディフェンスはきっちりと機能していた。時にはボールホルダーを3人で食い止め、ゴールラインに迫られても体を張ってトライを阻止した。 「強いランナーがいることはわかっていたので、弾かれてもいいからしっかりタックルに入ろうと言い続けた。フィジカルバトルで負けていなかったし、相手をひとりにしなかったところがすごくよかった」(佐藤)