「円か紙切れになる」元モルガン銀行東京支店長が指摘する「日本版トラス・ショック」の日…日本はなぜ40年間も経済成長できなかったのか
日本は一度、国家的な破綻を経験する
ーーどうすれば日本経済を再生させることができるのでしょうか? 日本が現在の状況を抜け出すためには、政治的な改革と市場の力を活用することが必要です。しかし、その過程では大きな痛みを伴うことが避けられないでしょう。現在の日本は、世界最悪のポピュリズム政治の影響を受け、多額の借金を抱え、財政破綻寸前の状態にあります。 それでも、日本人の勤勉さや高い能力を信じています。一度は大きなショック、国家的な破綻を経験するかもしれませんが、そこから復活する力は十分にあると確信しています。ただし、それは相当な困難を乗り越えた後の話になるでしょう。
日本経済が約40年間も成長しなかったのはなぜか
ーー日本の経済成長が低迷している原因は何でしょうか? 日本が40年間にわたり経済成長率で世界に遅れを取っている原因は、日本が実質的に社会主義国家だからです。優秀な国民を抱えながらも、社会制度やシステムの問題により、資本主義的な自由競争が十分に機能していません。大きな政府が経済をコントロールしようとする体制では、規制が多く、結果の平等を重視する傾向が強くなります。このような状況では競争が阻害され、経済の停滞を招くのは当然です。 資本主義国家では、市場の競争原理が経済を牽引します。例えばアメリカのように、成功した者が大きな報酬を得る仕組みが、個人の挑戦や夢を後押しします。それが社会全体の成長につながります。一方で、政府の役割は民間企業が行き過ぎた際に修正を加えたり、賃上げが可能になる環境を整備したりすることに留めるべきです。 また、日本では過剰な格差是正も問題です。すべてを平等にすればよいというものではなく、過度な格差是正は人々の努力や挑戦する意欲を削ぎ、積極的に働こうとする動機を失わせます。 私の息子がアメリカ留学から帰国した際に、次のようなことを話してくれました。「95%の人間は日本人の方がアメリカ人より優秀だが、残りの5%はアメリカ人の方が圧倒的に優秀だ」と。それはGAFAの幹部たちを見ても明らかなように、移民の天才たちがアメリカを目指して集まるからです。アメリカでは、大成功すれば巨額の報酬を得られるため、優秀な人材が集まります。大谷翔平選手もその一例でしょう。 したがって、格差是正は程よく行う必要があります。社会保障制度の本質は、国民の生命と財産を守るために格差を緩和し、社会の安定を図ることにあります。日本は世界でも格差が少ない国の一つでありながら、さらに格差是正を推し進めてしまえば、経済成長するわけがありません。
藤巻健史
【関連記事】
- 【詳しくは…】「円が紙切れになる」元モルガン銀行東京支店長が指摘する「日本版トラス・ショック」の日…来るXデー!プロが解説する本当の資産防衛策
- 「1ドル500円になる」元モルガン銀行東京支店長が日本に最終警告!「お札が紙切れになる日はもうすぐくる」…円安はもう止められない
- 元手200万円から2億円ママ投資家に!2025年注目の18銘柄大暴露…個人投資家・井村俊哉氏が投資助言「クロスオーバーファンド」に熱視線
- 円は紙屑になる…「今すぐドルを持ちなさい」元モルガン銀行東京支店長が最終警告!米国の金利はまだまだ上がる
- 元モルガン銀行東京支店長が日本に緊急警鐘!「円はもうダメだ、1ドル500円に…」日銀は財政破綻を先送りにしている