飲食・アパレル・野球…沖縄に恩返し 元プロ野球選手の大嶺祐太(36) 二兎を追う
「ハンカチ世代」「マー君世代」。高校野球をわかせたハンカチ王子こと斎藤佑樹(元日本ハム)、米メジャーリーグでも活躍した田中将大(楽天)ら、プロ野球に多くの人材を輩出した世代を指す。「黄金世代」ともいわれた彼らも30代半ば。徐々に現役を退き、第二の人生を歩み始める年齢になった。豪腕でならした大型右腕も、そんな一人だ。 【写真】プロ野球ロッテ時代。本格派右腕として活躍した ■「沖縄」な店内 東京都江東区にある「創作ダイニング HA-LY 爬竜(はりゅう)船」。現在、多くの時間を店の厨房(ちゅうぼう)で過ごしている。沖縄・石垣島の八重山商工高のエースとして甲子園で活躍、最速150キロ超の直球を武器にプロ入り。相次ぐけがに苦しみながらもプロ通算29勝を挙げ、令和4年に引退した。 店名には、自身のルーツである沖縄に伝わる豊漁や航海の安全を祈る伝統行事「ハーリー」、それに使われる船の名前を冠した。石垣牛のハンバーグやステーキ、だしが自慢の沖縄そば(ソーキそば)のほか、所属していた中日の本拠地、名古屋の名物・手羽先も提供する。 夜は野球教室で子供たちを指導する日もあるが、現役時代を知るファンが足を運んでくれることもあり、閉店間際になっても必ず店に戻るようにしている。親交のある元プロ野球選手もふらりと訪れ、カウンターで野球談義に花を咲かす。 ■妻から手ほどき 故障に泣かされた経験から、「引退後のセカンドキャリアについては、現役時代から意識をしていた」。戦力外通告を受けた2カ月後には、東京・神田に共同経営者とともに焼き鳥店を出店。「タイミングが良かった」と振り返る。 支えてくれたのは、ファッションモデルでもある妻の琴菜(ことな)(36)だ。メールの返し方、言葉遣い、仕事の進め方…。一から「社会人」の手ほどきを受けた。 「当初は反発して言うことを聞かないこともあったが、そうするとうまくいかない。(妻の)意見を聞き入れるようになった」と笑う。 焼き鳥店は現在、共同経営者に任せているが、「社会人としての基礎が培われた」。その後、妻が立ち上げた会社を引き継ぎ、代表取締役に。アパレルブランド「LUCIA(エルーシャ)」を展開する。