年末年始の「子どもの急な体調不良」どう備える? 医師が解説する発熱時のポイント
今年の年末年始は最大9連休となり、多くの医療機関が休診となります。インフルエンザやコロナ、マイコプラズマなど感染症の流行も懸念される中、子どもが急に発熱したり体調を崩した場合、どのように対応すればよいのでしょうか――。そんな保護者の不安に応えるべく、竹内小児科内科院長・五藤良将先生にお話を伺いました。(取材・文/吉澤恵理) 【マンガ】「朝、起きられない」はSOSサイン? 不登校を引き起こす起立性調節障害
医療機関が休診の時、どう対処する?
―年末年始は子どもにとって楽しい時間が多い一方、はしゃぎすぎて体調を崩すことも考えられます。急な発熱時に医療機関が休診の場合、どのように対処すればよいでしょうか? 確かに、子どもの体調不良は突然やってきます。発熱は多くの場合、体がウイルスや細菌と戦っているサインです。まずは焦らず、次のポイントを押さえながら観察してください。 •発熱時のポイント 水分補給: 冬場は特に水分摂取量が少なくなりがちです。脱水症状を防ぐため、経口補水液(ORS)を少しずつ与えましょう。脱水症状の兆候として、唇の乾きや尿量の減少、ぐったりした様子が見られる場合は注意が必要です。 •解熱剤の選び方 解熱剤は、アセトアミノフェンが安全です。一方で、アスピリン系やNSAIDs(イブプロフェンなど)は、特にインフルエンザが疑われる場合には避けてください。これらはインフルエンザ脳症のリスクを高める可能性があります。 •クーリング おでこ、わきの下、足の付け根などを冷やすのは効果的です。ただし、子どもが嫌がる場合には無理に行う必要はありません。 ―解熱剤を使用する目安の体温を教えてください。 一般的には38.5度を超えた場合に解熱剤を使用します。ただし、38.5度に達していなくても水分摂取を嫌がり、ぐったりしている場合には使用可能です。また、過去に熱性けいれんを起こしたことがある場合は、37.5度で使用することが推奨されます。 ―熱性けいれんについて不安を抱える保護者も多いですが、どのように対処すれば良いでしょうか? 熱性けいれんは、発熱による刺激で脳が一時的に過剰反応を起こしている状態です。多くの場合、1~2分以内に収まり、後遺症は残りません。パニックにならないためにも、次の対応を覚えておきましょう。 •慌てずに経過を見守る けいれんが始まったら子どもを横向きに寝かせ、周囲に危険な物がないようにします。けいれんが収まるまで静かに見守りましょう。 •5分以上続く場合は救急車を呼ぶ 5分以上けいれんが続く場合や、けいれん後に意識が戻らない場合はすぐに救急車を呼んでください。 ―熱性けいれんを引き起こすリスクはありますか? 熱性けいれんは生後6か月~5歳頃の子どもに多く見られます。また、親が幼少期に熱性けいれんを経験している場合、子どもに起きやすいとの報告もあります。 さらに、抗ヒスタミン薬が熱性けいれんを誘発するリスクがあるため、2歳未満の子どもには使用を避けることが望ましいです。ただし、医師が処方する薬には安全性を考慮したものが選ばれています。市販薬を購入する際は薬剤師に相談してください。