「内部洗浄」と「空清」両輪 ルームエアコン、清潔機能が進化
家庭用ルームエアコンの清潔機能が進化している。エアコン各社が開発を強化しているのは、エアコン内部の自動洗浄機能と部屋の空気をきれいに保つ空気清浄機能だ。エアコン内部が汚れると室内の空気にカビが混じったり臭いがしたりすることから、内部洗浄と空清を両輪とした開発が進む。自動洗浄で掃除の手間を省くだけでなく、省エネ性能を維持する狙いもある。各社は独自技術で清潔性能に磨きをかけており、清潔機能を前面に出す製品も増えてきた。 【関連写真】室内機内部と部屋を監視するセンサー技術も登場(写真は日立) 主要各社のエアコンは、冷暖房性能や快適な室温維持、省エネといった基本機能の強化とともに、最近は清潔機能がもう一つの柱になってきた。カビの発生や臭いの抑制、フィルター掃除の手間の軽減など、きれいと時短の両立を目指す機能開発が進み、清潔を打ち出すメーカーも多い。熱交換器に抗菌などの独自のコーティングを施し、汚れやカビの付着を防ぐ。 ◆水内部クリーン搭載 ダイキン工業は、夏は結露水、冬は加湿水でエアコン内部を洗浄する「水内部クリーン」を搭載し、夏も冬も熱交換器の汚れを落とす。高い酸化分解力を持つプラズマ放電のストリーマを照射しながら熱交換器と気流通路を乾燥し、ストリーマ空清で浮遊ウイルスを抑制する。 ◆一年中カビを抑制 「清潔エアコンは、日立。」を打ち出す日立ジョンソンコントロールズ空調は、「白くまくん」の新製品で清潔機能を進化させた。プレミアムXシリーズは、エアコン内部と部屋の両方を清潔にする機能を強化。新プラズマイオンで、カーテンなどに付着する臭い物質を酸化分解するだけでなく、一年中、エアコン内部のカビを抑制する。新製品には部屋の空気とエアコン内部の両方を常に監視する「清潔みはりセンサー」を付けた。 ◆清掃は年に1回 パナソニックは、「エオリア」最上位モデルにナノイーXを搭載し、部屋の空気と内部の両方を清潔に保つ。エアコン内部に付着した油分まで最大約74%分解・低減。フィルター自動掃除と内部クリーン運転、ナノイーX送風をセットで行う機能で、外出中に部屋の空気とエアコン内部をきれいにする。ダストボックス式のフィルターお掃除ロボットによって年に1回の清掃で済む。 ◆UVで熱交換器除菌 東芝ライフスタイルは、主力ルームエアコン「大清快」シリーズにUVプレミアムクリーン除菌を搭載。結露水を使った冷房洗浄、プラズマ空清、暖房乾燥、送風乾燥に加え、工程中にUVを照射することで熱交換器を除菌する。細菌やカビ、花粉、PM2・5も除去できるプラズマ空清は、脱臭効果も確認しており、エアコン内部と部屋の両方をきれいにする。 ◆オゾンでカビ抑える 三菱電機は「霧ヶ峰」シリーズで、熱交換器からファン、通風路まで特許技術を使ったコーティングを施してほこりと油汚れを防ぐとともに、低濃度オゾンで内部のカビ発生を抑えている。「はずせるフィルターおそうじメカ」により、運転後にフィルターのほこりやごみを自動でかき取る。ダストボックスは約10年ためられる大容量だ。 ◆タイマー設定で清掃 富士通ゼネラルは、上位機のXシリーズ、Zシリーズなどで清潔を前面に出す。冷房や除湿中に発生する水分を利用して洗い、除菌する「熱交換器加熱除菌」機能や、フィルターのほこりを自動で除去する「フィルター自動おそうじ」機能を搭載するとともに、タイマー設定で効率よく自動で清掃できる機能もある。お手入れの時期を音声で知らせる機能により、常にきれいな状態を保てるようにしている。 ◆外して水洗いも可能 シャープは、最上位モデルXシリーズに「風クリーンシステム」を搭載。また、「フィルター自動お掃除」機能は二つのブラシでフィルターのほこりをかき取り、約10年分ためられる抗菌仕様の大容量ダストボックスで手間を減らす。プラズマクラスターネクストでカビを抑制するほか、汚れが気になる部品は外して水洗いできる。 コロナ禍を経て、部屋の空気をきれいに保ちたいという〝空気質〟にこだわる人が増えた。掃除の手間を少しでも省きたいという時短ニーズも高まり、エアコンの清潔機能に着目する消費者が多くなっている。より清潔でお手入れしやすい機能の開発がさらに加速しそうだ。
電波新聞社 報道本部