老若男女が集うストリートピアノ 街のにぎわい創出に貢献する一方…騒音問題に苦慮する自治体
街中や駅などに設置され、誰もが自由に演奏することができるストリートピアノが、数年前から全国的に流行している。腕に覚えがある人たちがSNSに演奏動画をアップすると高い再生回数を獲得したり、人気YouTuberが演奏しにやってくると多くの観衆を集めたりすることも珍しくない光景となっている。 国内では、東京都庁などが有名なストリートピアノのスポットとなっているが、こうした世の中の流れを受けて、名古屋市としても街のにぎわい創出や文化的発展を目指し、2022年4月にJRゲートタワー15階とナディアパーク、地下鉄東山線本陣駅の3箇所にストリートピアノを設置した。老若男女問わず様々な人たちがピアノ演奏を楽しみ、地域のにぎわい創出に寄与している。 一方で、ストリートピアノと背中合わせなのが騒音問題。名古屋市でもJRゲートタワー15階のストリートピアノはカフェの横に設置されていたため、休憩しているときに激しい演奏が行われると不快に感じる人もいたようで、苦情が出で昨年3月末に利用を休止する事態となった。それから約半年後の11月に、JRセントラルタワーズの2階に設置場所を移して再開したが、設置されたピアノは「いやしのピアノ ーdolce(ドルチェ)ー」(dolce=柔らかく、可愛らしくという意味の音楽用語)と名付けられた。 こうした騒音問題を受けて市は、JRセントラルタワーズのピアノに音量の低減を図る防音装置を設置したり、ナディアパークには音が反響しないように防音の壁を設置するなど、対策を講じてきた。利用者に対しても、演奏に際して音量に配慮するよう注意を呼びかけている。 しかし、あまり規制を厳しくしてしまうと、本来の目的である街のにぎわい創出の効果は薄れてしまう。名古屋市としてもストリートピアノの活用方法を模索している様子で、担当者は「周囲に配慮しながらも、今後はイベントと連携したストリートピアノの使い方なども検討していきたい」としている。 誰でも気軽にピアノに触れる機会を提供するのは有意義な取り組みであり、他の地域を見てもうまく活用すればストリートピアノがにぎわい創出に寄与することは間違いないが、騒音問題とどう折り合いをつけるのかは、今後も手探りで進めていくことになりそうだ。