「口腸相関」知って全身健康に 飲むな寝起きの水、悪玉菌侵入防いで 近ごろ都に流行るもの
日本人の3人に1人はかかるというがん。徳島大大学院の湯本浩通教授は9月公開のKAOヘルスケアレポート74号で「歯周病が全身に及ぼす影響」として次のように述べている。「歯周病の原因菌が舌や歯肉、頬(ほお)や喉の粘膜などの頭頸(とうけい)部がんにつながることは知られていたが、最近では、膵臓(すいぞう)がんや大腸がんにも影響を及ぼすといわれています。唾液に含まれる細菌が生きたまま腸に到達し、増殖して腸内細菌叢を乱して炎症を起こし、がん化することが考えられます」
全身の健康を意識した各社の口腔ケア商品も進化している。花王「薬用ピュオーラ ハミガキ」は10月に改良。いつもの歯磨きで、こびりついた歯垢・菌を分散、根元からはがして除去する処方変更で、汚れ落とし性能を高めた。
ライオンの「システマハグキプラス」は直近5年間で売り上げが約1・7倍に成長。先制殺菌をうたうサンスターの「G・U・Mプラス デンタルペースト」は、一昨年9月の発売から半年で500万本を売り上げるヒットとなっている。
大人だけの問題ではない。ライオンが一昨年の歯科基礎医学会学術大会で発表した実態調査によると、乳幼児の両親が保有する口腔細菌の多くが生後半年ごろから検出されるようになり、その後、1歳半にかけて多様な菌種を保有する乳幼児が増加。菌種の中には口臭や歯周病に関連する菌も含まれていたそうだ。
今時の親は口移しなどしていないはずだが…。一緒に暮らしているだけで他者に届く菌の力、恐るべし。(重松明子)