OpenAI取締役のAIスタートアップSierraが目指すチャットボットのパーソナライゼーション
顧客のリクエストに対し、様々なアクションも実行可能
Sierraが話題になっているのは、単に問い合わせに対して情報提供をするだけでなく、許可が与えられている範囲内で、問い合わせ内容に対応した様々なアクションを実行できる機能によるところも大きい。 たとえば、ユーザーのサブスクリプションのアップグレードといった処理や注文管理システムにおいて配送遅延に対する対応など、多様なタスクを実行できる。 もちろん人間のカスタマーサポートには柔軟さでは及ばないものの、カリフォルニア発のフットウェアブランド「OluKai」で使用された際には、大規模バーゲン期間に急増したすべての顧客ケースの半分以上を処理し、前述の減量・健康管理アプリ「Weight Watchers」によると、顧客対応の約70%を処理、顧客満足度スコアは4.6/5であった。 AIチャットボットが対処できないケースについては、Sierraは人間の顧客サービスチームに詳細な重要事項のサマリーを提供し、効率的な解決の手助けをする。
会話型生成 AIカスタマーサポート市場で存在感「Rasa」
Sierraは、AIカスタマーサポート市場には既存のプレーヤーは存在しないと主張するが、大規模言語モデル(LLM)を活用しているチャットボット企業は、その品質や資金力に差はあるものの、現在もいくつか存在する。 そのひとつである2016年設立、今年3,000万ドルの資金調達が話題になった会話型生成AIスタートアップ「Rasa」は、大企業の開発者がよりパーソナライズされた会話型生成AIアシスタントを構築するためのインフラを提供してきたスタートアップ企業だ。対話型AIを採用したチャットボット、音声アプリなどのサービスを開発するためのオープンソース・プラットフォームとしてスタートし、昨年には対話型AIの提供も開始した。 Rasaは、主に金融サービスや通信分野に大規模な顧客を有しており、その中にはアメリカン・エキスプレスとドイツ・テレコムなどが含まれる。たとえばドイツの大手通信会社であるドイツ・テレコムの活用事例では、インターネット接続に問題が発生した場合、チャットボットが家のルーターのリセットを手伝ってくれるという。 他にも、カスタマーサポートにおけるAIのさらなる進化と活用に取り組んでいるスタートアップには、カリフォルニア発の「Forethought(フォアソート)」やエアアジアのフライト予約やメタのVR注文処理などのチャットボットをプログラムし、オープンAIと提携している「Ada(エイダ)」などがある。