<ラグビー>スコットランドに連敗した新生ジャパンの課題とは?
今後の代表のはっきりとした課題は、まず、グラウンドの外にある。 先発組と控え組のち密なバトン交換、スクラムなどセットプレーの高質化、さらにはレフェリーの研究といった問題は、名伯楽と選手による長期間の準備でクリアする類のもの。 ところが今回のジャパンは、正式な指揮官を持たず短い準備でテストマッチを迎えている。ハメットHC代行にとっては、6月になって初めて同じ釜の飯を食った選手が今回の先発15人中8人もいた。 チームがオフだった22日、堀江ら一部のメンバーは日本ラグビー協会と今後の体質改善に関する話し合いの場を設けたという。カナダ代表戦で怪我をしたスクラムハーフの田中史朗は、自身の海外経験をもとにこう言っていた。 「ニュージーランドでは、選手がここまで考える必要はないんですよ。協会がしっかりしているから」 選手の過半数がスーパーラグビーに参戦することなどから、前年度まで習慣化していた日本代表の長期合宿実施は難しくなる。ジョセフ新HCらスタッフ陣がサンウルブズの指導を兼務できる環境を整えるなど、いちチームとしての日本代表への支援体制は急務となろう。 収穫は、グラウンドの中にある。最たるものは今春から代表入りの小瀧ら若手のキャリアの醸成、海外組の底力の証明だろう。イングランド大会代表でサンウルブズでも戦う稲垣は「ワールドカップでの経験を新しく入ってき選手にオーガナイズしきれなかったのは課題」と語るが、当事者がそう認識できた点はポジティブな要素だ。 ジャパンは今秋、ジョセフHCを迎えてヨーロッパ遠征を実施。その前に各々は、スーパーラグビーや国内のトップリーグで研鑽を積む。ワールドカップの日本大会を2019年に控え、立川副将は言う。 「もちろんジェイミーが来てからは2019年へのプランが出されると思う。そこでセレクションされたメンバーは1つひとつ、一生懸命やってゆくしかない。今回、短い期間でもここまでのチームになった。もっと強くなれる」 (文責・向風見也/ラグビーライター)