いま「子ども学部」で学ぶこととは 保育士から幼稚園・小学校教諭の3つの資格を取得
保育士や幼稚園・小学校の教員になるには、保育学部や児童・幼児教育学科などで学びます。20年ほど前からは「子ども学部」「子ども学科」といった名称の学部・学科も設置されています。これらは従来の学部とどのように違うのでしょうか。「子ども学部」で学ぶ学生に、授業や実習について聞きました。(写真=東京成徳大学子ども学部4年の尾上日向子さん。東京成徳大学提供) 【写真】東京成徳大学子ども学部の授業を受ける尾上さん(写真=東京成徳大学提供)
子どもをめぐる課題に対応
全国の大学で子ども学部が設置され始めたのは、2003年以降のことです。03年に東大阪大学が大学創立とともに「こども学部」を設置し、04年に東京成徳大学、05年に白梅学園大学、梅光学院大学が相次いで「子ども学部」を設置しました。 「子ども学部」の設置は、急速に少子化が進み、子どもをめぐる環境が変化するなかで、従来の保育学や教育学の範囲では収まらない新たな形の教育・保育専門職の養成が求められてきたことが背景にあります。このため、子ども学部では保育学や教育学に加えて、心理学や児童福祉学、児童精神保健学など、子どもに関する知識を総合的に学びます。 白梅学園大学では、08年に大学院にも子ども学研究科子ども学専攻を開設し、子ども学を新しい研究領域としてとらえ、子どもを取り巻くテーマや課題について、多様な専門領域を学びつつ探究しています。10年には博士課程も開設し、日本初の子ども学の博士号を取得可能になっています。 子ども学部の特徴としてもうひとつ挙げられるのが、保育士資格と幼稚園教諭免許状を同時に取得できることです。さらに多くの子ども学部では、小学校教諭免許状も取得できるため、所定の単位を取得すれば卒業時に3つの資格を持つことができます。 関東で初めて子ども学部を設置した東京成徳大学では、子どもの発達と子育て支援に関する知識などを多角的、総合的に学びます。さらに子どもと触れ合う際に不可欠なコミュニケーション方法、例えば音楽教育、造形学、幼児体育、身体表現などの技術も身につけることができます。 子ども学部4年の尾上日向子さんは、3つの資格を取得できることに魅力を感じて進学を決めました。 「自分が幼稚園の年少のときに、園に行きたくない時期がありました。幼稚園に行ってもずっと泣いていたり、泣きすぎて朝食で食べたものをもどしてしまったり。中学生のときに家庭科の授業の一環で保育所に行った際、泣いている子どもを見ていたら、当時泣いていた自分の横で寄り添ってくれた先生の光景を思い出しました。不安を抱える子どもとの関わりに興味がわき、幼稚園の先生になりたいと思うようになりました」