いま「子ども学部」で学ぶこととは 保育士から幼稚園・小学校教諭の3つの資格を取得
家族は心配したが…
尾上さんは3つの資格を取得するために必要な単位を取り、現在は幼稚園教諭として幼児教育の現場に立つことを目指しつつ、小学校教諭としての将来も視野に入れています。 ただ、入学当初、両親は尾上さんが教員になることに対して、かなり心配をしていたと言います。 「労働時間が長いなど教員に関するネガティブな情報も多いので、私のメンタル面が心配だったようです。でも私が『楽しい』と言いながら実習に行っている姿などを見ているうちに、教育現場の大変な面だけではなく、いい面もあるということに気づいてくれて、今は私のやりたいことを応援してくれています」
一般企業に就職する学生も
東京成徳大学の子ども学部で尾上さんのように3つの資格を取得するのは、1~2割程度で、ほとんどの学生は、保育士資格と幼稚園教諭免許状を取得しています。卒業後の就職先は、保育園4割、幼稚園3割、小学校1割程度で、残りの1~2割は一般企業に就職しています。一般企業は玩具メーカー、子ども服メーカー、子ども写真館、教育関連のアプリを制作する会社など多岐にわたります。 子ども学科の富山(とみやま)尚子学科長はこう話します。 「子ども学部では子どもに関する専門性を生かしながら、社会に貢献できる人材育成を目指していて、最近は保育士や教員になるだけではなく、一般企業に就職する学生も増えています。実習のほか、ボランティア活動への参加も積極的に促しているので、4年間で外部の方と接する機会が数多くあります。そうした中で子どもに関する多角的な視点が身につき、さまざまな場で役立っているようです」 教員不足や不登校など、教育現場ではさまざまな課題を抱えています。子ども学部では4年間を通して、現代社会の課題に対応できる力を着実に身につけられそうです。
朝日新聞Thinkキャンパス