【有力化粧品素材販売会社に聞く】アンチエイジング 牛島美樹社長「老化抑制効果持つ『ペンタイド―NMN』が好調」
ヒト幹細胞培養液原料の国内におけるパイオニアとして化粧品素材の販売を行っているアンチエイジングは、浸透型NMN誘導体「Pentide(ペンタイド)―NMN」の販売が好調だ。採用する企業が相次いでいるという。「ペンタイド―NMN」は①高い安定性 ②高い浸透性 ③他社の配合特許に抵触しない――といった特徴を持つ。老化の新概念である「inflammaging(インフラメージング、炎症と関連する老化)」の解消に貢献する素材だとしている。リバースエイジング成分「エクソソーム」との相性も良く、両成分の相乗的な効果も期待できるそうだ。牛島美樹社長に話を聞いた。 【画像】アンチエイジングの素材の注目ポイント ――2024年2月に発売した「ペンタイド―NMN」の販売状況はどうですか? 牛島:好調です。NMNサプリを販売する企業を始め多くの企業に関心を持っていただいており、採用も相次いでいます。 ――「ペンタイド―NMN」の特徴を改めて教えてください。 牛島:当社が扱う新型ビタミンC誘導体「Pentide―C」の技術を応用してNMNの浸透性や効果を大幅に高めた新原料が「ペンタイド―NMN」です。 NMNは細胞中のNAD+を増加させ、老化抑制遺伝子「SIRT(サーチュイン)」を作動させる、アンチエイジングの働きを持っていることが知られています。ただ、NMNは、肌への浸透性が極めて低く、化粧品に配合する上での難点でした。 その点、「ペンタイド―NMN」は、皮膚への浸透性が高く、細胞に取り込まれる性質があることも分かってきています。 人口皮膚モデルでNMNの皮膚透過性を調べた試験では、浸透性が大幅に向上することが確認されています。皮膚透過率を見ると、NMNが0.0%だったのに対して、「Pentide―NMN」は27.6%でした。 「ペンタイド―NMN」は安定性が高いのも特徴です。NMNは、血液中や水溶液中で、非常に短時間で分解されるなど安定性が悪いことも知られています。実際に40度の条件下の試験では、3日間でNMNが完全分解されることが分かっています。これに対して、「ペンタイド―NMN」を使った試験では長い時間安定性が維持されることが確認されました。 NMNは、関連する特許がさまざま取得されており、商品化に当たって注意が必要な成分です。この点においても、「ペンタイド―NMN」は、他の配合特許に抵触しませんから、知的財産権に不慣れな企業でも安心して配合できます。 ――「ペンタイド―NMN」の効果のエビデンスは取得していますか? 牛島:ターンオーバー促進やシワ改善、肌のトーンアップなどの効果が試験で確認されています。 近年世界中の研究者が、炎症による老化を意味する「インフラメージング」に注目するようになっています。「ペンタイド―NMN」には抗炎症効果がありますから、「インフラメージング」解消にも大きく貢献する可能性があると考えています。 線維芽細胞を用いた試験では、リバースエイジング効果があることを確認しています。特殊な条件下でガラクトシダーゼを染色すると、老化した細胞が青く染色されることが知られています。この青く染色されたものが、「SA―β―gal(老化関連ガラクトシダーゼ)」です。「SA―β―gal」は、細胞分裂をしない状態の老化細胞を検出するマーカーとして広く使われています。 「ペンタイド―NMN」の試験では、薬剤を使って、線維芽細胞を老化誘導し細胞の着色を行いました。その結果、無添加の群に比べて、「ペンタイドNMN」を添加した群では、「SA―β―gal」の発現が減少することが確認されました。通常のNMNよりもさらに効果が高いことも分かりました。 線維芽細胞老化モデルを使って、若返り遺伝子「SIRT1」の発現を調べる試験も行っています。老化細胞では「SIRT1」が減少しますが、「ペンタイド―NMN」の添加により「SIRT1」が濃度依存的に回復することが確認されました。通常のNMNでは同様の効果が確認されませんでした。これらの結果から、「ペンタイド―NMN」のリバースエイジング効果が実証されたと考えています。 ――御社では、リバースエイジング成分として「エクソソーム」の提案も行っていますね。 牛島:「エクソソーム」にも、同様のリバースエイジング効果があることが確認されています。当社の「エクソソーム」に関する研究では、紫外線により老化誘導した線維芽細胞を同様の方法で染色しました。その結果、「エクソソーム」を添加すると、「SA―β―gal」の発現が減少することが確認されました。 当社では、「ペンタイド―NMN」と「エクソソーム」、ヒト幹細胞培養液を組み合わせた原料「RS Liposome 3・0E NMN」の提案も行っています。 ――相乗効果が期待できるのですか? 牛島:両成分は同様のリバースエイジング効果を持ちながら、メカニズムはまったく違うと考えられます。そのため、相乗的な効果が期待できます。「エクソソーム」には、遺伝子の「悪いスイッチ」を入れさせない「RNAサイレンシング」という効果があることが、報告されています。一方、「ペンタイド―NMN」には、遺伝子の「良いスイッチ」をオンにする機能があることが分かっています。対照的な効果を持つ2成分が相乗的に老化抑制効果を発揮するというのはストーリー的にも面白いと考えています。
日本ネット経済新聞