なぜパリ五輪“8強GK”小久保玲央ブライアンはベルギーに新天地を求めたのか…「ベンフィカではプロとしての活動を継続できなかった」
もちろん小久保自身も、競争ありきだと自らに言い聞かせている。まずは日々の練習を介して新監督の信頼を勝ち取り、コペンスからポジションを奪わなければ何もはじまらない。新天地への合流直後にベンチ入りを果たしたアントワープ戦をポジティブにとらえながら、小久保は前向きな言葉を紡いでいる。 「ベンフィカではワンシーズンを通して、プロ選手としてのしっかりとした活動がなかなか継続できなかった。ただ、そのなかでも自分が得てきたものがあるので、このチームでそれらを見せられるように、まずは練習でしっかりと監督にプレーを見せて、試合に続けて出られるように、1日1日を大事にしていきたい」 ポルトガルでの5年半で小久保が得たものの片鱗はアジアカップや、グループステージを無失点で3連勝したパリ五輪の戦いで示せた。身長193cm体重89kgの恵まれた体に搭載されたスケールの大きなプレーを、シントトロイデンの守護神としてコンスタントに発揮していく先にさらに大きな未来が開けてくる。 森保ジャパンでも鈴木に代わって守護神を拝命し、2026年の北中米W杯へ向けて「国防」を担ってほしいと待望論がわきあがっている小久保が言う。 「A代表は自分の夢でもあるし、パリ五輪の前から自分はずっとA代表を目指してきました。ただ、自分がどうするのかが何よりも大事なので、彩艶に追いつくとか追い越すとかじゃなくて、周囲を考えずに自分らしくプレーしていきたい」 17日(日本時間18日)の次節は、2勝1分けと無敗で2位につけるデンデルを本拠地スタイエンに迎える。最終的には0-3で敗れ、チームメイトたちと涙したスペインとの準々決勝を含めて、パリ五輪を「後ろを見ずに、次へ、次へと進んでいきたい」と過去のものと位置づける小久保が、新たな戦いのゴングを自ら鳴らした。 (文責・藤江直人/スポーツライター)
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