スマホって盗聴されていると思う? 米国などで調査 「会話内容に関連した商品広告が出た」
米ミネソタ大学やオランダのアムステルダム大学などに所属する研究者らが発表した論文「Conversation-Related Advertising and Electronic Eavesdropping: Mapping Perceptions of Phones Listening for Advertising in the United States, the Netherlands, and Poland」は、オフラインでの会話内容に関連した広告の受信経験とその認識について調査した研究報告である。 【画像を見る】実体験の有無による電子盗聴の3カ国の比較【全3枚】 スマートフォンやタブレットなどの電子機器が私たちのオフラインの会話を盗聴しているのではないか。そんな疑念を抱く人々が増えている。この現象について、米国、オランダ、ポーランドの3カ国で大規模な調査を実施した。 調査の焦点となったのは、オフラインでの会話内容に関連する広告が自身の端末に表示される「会話関連広告」である。例えば、友人と特定の商品について話した直後に、その商品の広告がスマートフォンに表示されるような経験だ。各国で約300人、計886人を対象に詳細な調査が行われた。 その結果、この現象は予想以上に広く認識されていることが判明した。米国では77.7%、オランダでは66.5%、ポーランドでは52.6%の回答者が、自身でこのような経験をしたと報告している。また、他者からの経験談を聞いたことがある人も同程度の割合で存在した。 さらに注目すべきは、各国の半数以上の回答者が、電子機器による会話の盗聴を信じていることである。特に、会話関連広告を実際に経験した人々の間では、この信念がより強く見られた。米国では61.4%、オランダでは59.0%、ポーランドでは66.2%が、広告表示は会話の盗聴が原因だと考えている。 具体的な経験の内容を見ると、興味深いパターンが浮かび上がる。多くの場合、配偶者や親しい友人、家族との会話の後に広告が表示されており、その時間差は数時間から1日以内が最も多い。 広告が表示される場所としては、FacebookやInstagram、YouTubeなどのソーシャルメディアが圧倒的に多く報告された。また、会話時に端末(ほとんどがスマホ)が約30~90cm以内の近距離にあり、電源が入っていたケース(スマホをいじりながら会話など)が大半を占めている。 この現象に対する感情反応も調査された。3カ国全てで、否定的な感情が肯定的な感情を上回った。特に「不気味さ」「困惑」「好奇心」という感情が強く、中でも米国の回答者は欧州の回答者と比較して、より強い不気味さを報告している。興味深いことに、ポーランドの回答者は他の2カ国と比べて、このような広告に出会えて肯定的な意見を答える傾向が強かった。 Source and Image Credits: Segijn, C. M., Strycharz, J., Turner, A., & Opree, S. J.(2024). Conversation-Related Advertising and Electronic Eavesdropping: Mapping Perceptions of Phones Listening for Advertising in the United States, the Netherlands, and Poland. Social Media + Society, 10(4). https://doi.org/10.1177/20563051241288448 ※Innovative Tech:このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。X: @shiropen2
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