ラリージャパン注目!日本のエース、勝田貴元のサーキット時代が凄かった。
チャンピオンになったほとんどのドライバーがスーパーフォーミュラやGT500で優勝するまでに至ったジュニアカテゴリーでチャンピオンになったわけですから、彼がラリーに転向することがなく、サーキットレースのキャリアを続けていれば、今は日本のトップカテゴリーを制するドライバーになっていた可能性が非常に高いと思います。
F3にステップアップしてからも中山雄一、松下信治、野尻智紀、千代勝正らと争い、優勝も飾っていますから、少なくとも順調にプロドライバーとしてステップアップをしていったはずです。
そんな彼の転機となったのはトヨタがWRC復帰に合わせて立ち上げた若手発掘プロジェクト「ラリーチャレンジプログラム」への挑戦です。同プログラムのオーディションを受けて選出された勝田はその後、フィンランドでの特訓に参加し、完全にラリードライバーに転向します。この時代の勝田にインタビューした時は「ラリーは全然違う世界で、サーキット走行の突っ込み癖が直らない」という話をしていました。クラッシュが頻発し、当時の担当者からはステップアップできるかギリギリのラインにいると聞いていました。まさに崖っぷちに居たことは今考えられると信じられませんね。
サーキットでの鋭く、強いブレーキングは彼の強みであり、一度身体に染み付いてしまったものを取り去るのは大変な作業だっただろうと想像します。相手よりも奥まで突っ込んでバトルをするサーキットレースと違い、毎回違うコース、路面状態の中で走るラリーでは時にはマージンを取り、全体をマネージメントする能力が求められます。まずは何事もなくしっかりフィニッシュすることが肝心です。
さらに同じコースを繰り返し走り、ラップタイムを落とさずに走る「再現性」が要求されるサーキット走行と違い、ラリーでは異なる路面に対する適応力、そしてペースノートを読むコ・ドライバーとの信頼関係も重要になってきます。自分一人でレースをしているわけではないということを当時の勝田は語っていました。
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