ズワイガニ1匹130万円、最高級ブランドを作り上げた「カラータグ」の秘密
冬の味覚を代表する日本海側のズワイガニ漁が6日、解禁となりました。初セリでは鳥取県の最高級ブランド「五輝星(いつきぼし)」が昨年を60万円上回る130万円、福井の「極(きわみ)」も昨年の3倍以上の価格となる37万円と高値をつけました。大きく値を上げた背景には、カニに付けたタグによるトップブランド化の定着が進んだことがありそうです。 冬の味覚ズワイガニ漁解禁、福井県「越前がに」の実力をみる
タグの始まりは「越前がに」
そもそもズワイガニにタグが付くようになったのは、1997年福井県の「越前がに」が始まりでした。福井県水産課によると「当時、産地表示の法律が今ほど厳格でなく、山陰から松葉ガニがたくさん入ってきても市場で越前がにとして売られているので差別化したい」という漁協関係者の声を受けたのがきっかけだったそうです。最初は黄色いリボン状の簡単なものでしたが、今は黄色いカニの形をしたものをつけるようになりました。 色のタグはほかの漁場でも広まりました。日本海側で漁獲量最大の兵庫県では津居山(ついやま)ガニが青色、柴山(しばやま)ガニがピンク、香住港松葉ガニが緑色など、水揚げする漁港ごとにカニのブランド名もタグの色が違っています。3つの港の組合が入っている但馬漁協は「もともと港ごとの区別をするためにつけて、タグの裏を見れば、カニを揚げた船の名前もわかるようになっています」と説明します。加えて中小型船はカニの形、大型船は船の形と、色だけでなく形も違いを付けています。「地域性を大切にしているので、今のところタグを統一する話はありません。切磋琢磨して地域ごとに頑張っています」(同漁協)とそれぞれのタグに自信をみせます。
「松葉がに」の差別化図るため、最高級品誕生
兵庫県の次に日本海側のズワイガニ水揚げを誇る鳥取県のタグは、カニの形をしていて、白地に赤字で「とっとり松葉がに」のブランド名が入っています。タグを作ったきっかけは山陰地方で獲れるズワイカニはすべて松葉ガニと呼ばれている中、差別化をはかるためでした。「1782年の江戸時代の古文書に、鳥取藩主が津山藩主に送った土産の記録で『松葉がに』と載っています。いわれの地として、松葉ガニの名前もひらがなでお願いしています」(鳥取県水産課)と話します。 昨年には、ネームバリューとして「大きく水をあけられている越前ガニの差を縮めるため」(鳥取県水産課)、鳥取県最高級ブランド「五輝星」を設けました。「とっとり松葉がに」のタグの条件は甲羅の幅11センチ以上、足が全部そろっていることなどが条件でした。そこに「五輝星」は甲羅幅13.5センチ以上、重さ1.2キロ以上、完全な形、キズがない、身入りなど、目利きの人が特上品と認めたものだけに、さらに黒いタグを付けることにしたのです。 「きょうの初セリの値段は驚きましたが、カニ漁解禁前に地震があっても、鳥取が元気だということが観光客にPRできてよかったです。知事も言いましたが『困ったときのカニ頼みです』」(鳥取県水産課)。