タイパ(タイムパフォーマンス)とは?メリット・デメリットと、自分時間を豊かにするためのヒント
「ドラマは倍速で視聴」「曲はサビだけ聴く」「まとめ動画を好んで観る」…今、Z世代を中心に広まる時短的な行動の背景には、時間当たりの満足度=「タイパ(タイムパフォーマンス)」をできるだけ高めたい意識があると言われています。タイパが注目されるようになった理由やメリット・デメリット、そしてタイパとの上手な付き合い方について、若者世代のトレンドに詳しい、博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所上席研究員の森永真弓さんにお話をうかがいました。
タイパ(タイムパフォーマンス)とは
「タイパ」とは「タイムパフォーマンス」の略語。ある行動にかけた時間に対して、得られる満足度を意味します。つまり「タイパ(タイムパフォーマンス)を高める」「タイパを重視する」とは、限りある時間を効率的に使い、その中でより満足度の高い体験を得ようとすることです。 タイパに似ている言葉として、もともとあるのが、かけたお金に対して得られる満足度を指す「コスパ(コストパフォーマンス)」です。コスパが「費用対効果」と呼ばれるのと同じように、タイパも「時間対効果」と言い換えられることがあります。 ◆タイパはZ世代を中心に流行している タイパという考え方や行動様式は、主にZ世代(1990年代中盤から2010年ごろまでに誕生した世代)を中心に広まってきたと言われています。iPhoneが日本で最初に発売されたのが2008年ですから、Z世代はスマホと共に育ち、SNSや動画共有サービスなどに親しんできた「SNSネイティブ世代」でもあります。 彼らは若いころからインターネット上の膨大な情報に触れ、その中から自分にとって有益なものを選び取る行動をごく自然に行ってきました。もちろんこれはZ世代でなくともやっていますが、上の世代との違いがあるとすれば、自分にとって無駄(有益でない)ものを大量に捨てて、有益なものを残す行動も重視していることです。限られた時間の中で、できるだけ効率の良い情報収集の方法を選択してきたことが、さまざまな場面でタイパを求める行動として表れているのかもしれません。 ◆「タイパがいい」の具体的事例 タイパを重視する行動として最初に注目されたのは、さまざまなエンタメの楽しみ方です。例えば、ドラマや映画、アニメなどを倍速で視聴したり、重要ではない場面をスキップしたり、コンテンツを短く編集した「ネタバレ動画」や「まとめ動画」を好んで観ることなどです。短い時間でたくさんのコンテンツを楽しむことができたり、全編を観なくてもストーリーや作品についての評判を把握できたりするため、「タイパがいい」と言われています。「作品全体ではなく、ストーリーがざっくりわかりさえすればいい」とも捉えられる消費スタイルと言えるでしょう。 もう一つの典型例は、学びの場でのタイパです。最近は動画授業や動画研修が広く定着しましたが、そうした動画を倍速で視聴するのはすでに一般的なことです。通常再生で1回観るよりも「倍速で2回観ることでより理解度が深まる」という学生も少なくないようです。 社会人も、仕事の勉強のために本を読むのではなく、本の要約サイトを活用したり、まとめ動画を観たりして、効率的に済ませるタイパ志向の人が増えています。こうした利便性の追求は、仕事や学びを効率化したい幅広い世代の人々に広まっていますし、今後も定着していくでしょう。