タイパ(タイムパフォーマンス)とは?メリット・デメリットと、自分時間を豊かにするためのヒント
タイパを求めることのメリットとデメリット
技術的にも環境的にもタイパを求めることができる現代は、人によって大きなメリットがある一方で、多くの若者にとっては生きづらさに繋がる面もあると考えています。 ◆【メリット】目的が明確であれば凄いスピードで成長できる 限られた時間を効率的に使い、より満足度の高い経験を得ることがタイパの本質だとすれば、大リーグで活躍する大谷翔平選手や、将棋の藤井聡太七冠は、タイパを究極まで突き詰めた事例だと言えるでしょう。 彼らには幼いころから野球や将棋という人生の目的があり、関連するあらゆる情報を自力で集め、自分に合ったトレーニング方法や人材、環境などと繋がり、あの域に到達しています。その成長速度は、これまでのどの世代よりも明らかに速いのではないでしょうか。 スポーツ以外にもさまざまなジャンルで、膨大な情報の中から積極的に学び、タイパを高めることで成長し、活躍している若者はたくさんいます。やりたいことさえあれば、タイパによって最短距離で高みに到達できる可能性があるのです。 ◆【デメリット】やりたいことがないと振り回されやすい 逆に、自分は何が好きなのか、何をやりたいのかわからない人は、活躍する同世代を横目に見て焦りを感じやすい環境でしょう。短時間で大量の体験や情報を摂取できてしまうだけに、人生の目的が定まらないタイプの人ほど、今やるべきことに的を絞るのが難しくなります。 「あれも必要」「これもやっておこう」と自分の時間を切り刻み、集めた情報を咀嚼しないまま消費してしまうため、多くの体験が「○○した気になった」ことの詰め合わせになりがちです。ふと振り返ると、細切れ過ぎて何も残っていない…ということになりかねません。
タイパに振り回されずに時間を充実させるには?
上述したように、人生の目的が明確な人は、どんどんタイパを高めて邁進すればいいでしょう。でも実際は、自分が本当に好きなこと、やりたいことが見つからないまま、タイパが目的化してしまっている人も少なくありません。そんな人は、少し立ち止まって、次のように考えてみてはいかがでしょうか。 ◆情報の中から「好き」と「嫌い」を見極める 「毎日タイパしています」「山ほどドラマを観ています」という人は、それだけ膨大な情報量を日々浴び続けていることになります。そこで、情報を処理する中でぜひ実行してほしいのが、ただ漫然と受け取るのではなく、自分の中で「ピンと来る」「来ない」「好き」「嫌い」を明確に意識しながら仕分けをすること。そのときは「自分はなぜそう思うのか」という思考を一つひとつ挟むことが大切です。 そうすると、自分が得意なことや興味のあること、好きなものがわかってきます。さらに関連する情報を取りに行き、知識や経験を広げていくといいでしょう。一方で、嫌いなものや合わないと感じるものは、我慢せず、そして不安にならずに捨てて構いません。それがなくてもあなたは生きていけます。そうすれば少しずつ自分の中で変化が起き、焦燥感や不安感が軽くなるでしょう。やりたいことや、叶えたい目標も見つかるかもしれません。 ◆無駄なことをする自分を受け入れる勇気を持つ ある大学でお話をしたとき、「企画のアイデアを出せるようになるには?」と質問され、「無駄なことをいっぱいしておくと、それが独自の発想に繋がります」と答えました。すると、200人超の学生さんから「無駄なことをしてもいいんですね!勇気をもらいました」という主旨の感想文が寄せられたのです。今の若者はそんなにも「無駄なことをしてはいけない」と思い詰めているのか。そう気づいて愕然としたことがありました。 人生から脱落する不安が大きい人は、「無駄なことをする自分」を受け入れる勇気を持ちましょう。例えば、「みんなに追いつくため」の情報収集を一旦やめて、その時間で一つのことにじっくり取り組んではいかがでしょうか。新しい勉強でも、推し活でも、小さいころに興味があったことをもう一回やってみるのでも、何でもいいので、純粋に自分の興味関心のために時間を使うのです。もし、期待していた成果が出なかったり、飽きてしまったりしても、それはそれとして受け入れていいのです。成果が出なかった理由、飽きてしまった理由を考えれば、それもまた一つの貴重な人生経験で、無駄ではありません。今は無駄だと感じる経験が、10年後に突然、重要な何かと紐づく可能性もあります。そう考えれば、どのようなこともすべて人生に意味のあることに変えていくことができるのです。