いよいよ最終回! 藤原道長の最期と紫式部のその後を時代考証が解説
終わりに
ついに最終回を迎えることができた。当初は月1、2回という約束であったが、ドラマやネットの自称「歴史家」のいい加減な記事を見るにつけ、「これは本当のことを伝えなければまずい」という焦燥感から、結局、2週毎に書いて配信していただくことになった。 私が時代考証という、労多くして功のない、しかも心身共に消耗の大きい仕事を続けてこられたのも、脚本家の得意な「恋愛フィクションパート」とは別に、古記録を基にした「史実パート」も楽しんでくださっている視聴者の方もおられるだろうと思ったからこそである。そして「遊宴に耽る怠惰で惰弱な平安貴族」という江戸時代以来の歴史観を打破したいという願望があったのだが、それを理解してくださる方もいるだろうと期待して、2年半に及ぶ仕事を続けてきた。 これをお読みになられた方は、どうか平安時代の本当の姿と、(中世よりも)平和で(奈良時代よりも)豊かな平安時代の意義を、考えていただきたい。 では、またお会いできる日を楽しみにしています。一年間、どうもありがとうございました。
倉本 一宏