ビジネス上のリスク、キャリアの分断 経団連が選択的夫婦別姓の早期導入を求めた理由 #家族とわたし
──今年6月、ダイバーシティ推進委員長の魚谷雅彦氏(資生堂会長)は、早期実現を求める提言を小泉龍司法務大臣に手渡しました。大山さんも同行されていましたね。 「面会時、小泉法務大臣には真摯に受け止めていただいた感触があります。様々な意見があるが、大事な問題。過去の法制審議会の議論も踏まえて、一緒に知恵を絞ろうと、予定の時間を過ぎてもお話しくださいました」 ──その後、自民党総裁選でも選択的夫婦別姓を政策目標に掲げる候補者も出て、議論にもなりました。新しく首相に選出された石破茂氏は総裁選中、選択的夫婦別姓について言及していましたが、国会の所信表明では語りませんでした。今後進むかどうかはまた不透明です。 「もちろん個々の政治家の方々には考え方の違いもありますが、今回の自民党総裁選で大きな争点としてこの問題が取り上げられ、こうして表立って語られることが重要で、今後に期待をしているところです。この問題は、突き詰めれば、日本が今後どういう国でありたいのかという大きな問いにつながっていると思います。多様な価値観や考え方を受け入れ、多様な選択肢が提示されて、自らの意思で選んでいける社会。そうしたあるべき未来の形の一環として議論されることを期待したいと思います」 森健(もり・けん) ジャーナリスト、専修大学非常勤講師。1968年、東京都生まれ。『「つなみ」の子どもたち』で2012年に第43回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。『小倉昌男 祈りと経営』で2015年に第22回小学館ノンフィクション大賞、2017年に第48回大宅壮一ノンフィクション賞、ビジネス書大賞2017審査員特別賞受賞。2023年、「安倍元首相暗殺と統一教会」で第84回文藝春秋読者賞受賞。 「#家族とわたし」はYahoo!ニュースがユーザーと考えたい社会課題「ホットイシュー」の一つです。ひとり暮らしの単身世帯が過去最多となり、生涯未婚率も上昇するなか、家族のかたちは多様化しています。また、介護や育児、親子関係など、現代の家族が直面する問題も多岐にわたります。旧来の家族観が変化するなか、「家族」とは何なのか、どうあるべきなのか。さまざまなエピソードや課題をもとに、ユーザーと考えます。