「仕事で失敗ばかり…」それ発達障害の影響かも 「よく物を紛失」「締め切りが守れない」のはなぜ
学校での「あるある」例 • 音読がたどたどしい • 鏡文字を書く • 作文が書けない。書くのが遅い • 計算問題ができない • 算数の文章題が解けない 幼いころは気づかれにくいのですが、小学校に入ると授業についていけなくなり、周囲の目にも特性が明らかになります。 知的発達には問題がないために、怠けていると思われがち。本人は努力してもできないので、自信を失ってしまいます。 ■発達障害と「ふつう」の境界線 発達障害のひとつであるASDのSは、「スペクトラム」の略です。これは範囲や境界線があいまいなまま連続している、という意味の言葉。自閉(Autism)状態が連続しているとは、どういうことなのでしょう。
例えば、健康診断で胸にあやしい影が見つかったとしましょう。がんの可能性があるからと精密検査を受けました。結果は良性の脂肪のかたまり。ああよかった! ――こんなふうに、がんかどうかははっきりわかります。 ところが発達障害は、白黒をつけるのが難しいのです。細胞を調べればわかるがんと違い、「発達障害と〝ふつう〟の境界線はここだ!」と明確に言えません。発達障害なのか、定型発達の範囲なのか、専門家でも判断に迷うことがあるのです。
発達障害の特性の出方は、育った環境や周囲に理解者がいるかどうかでも変わります。ですから、ある特性のためにとても生きづらく感じる人がいる一方で、そこそこうまくやっていける人もいます。「ステージ2のがん」の定義は患者が誰であっても共通ですが、発達障害ではそう言えないのです。 こうしたあいまいさはASDだけでなく、ADHDも同じです。また、ASDとADHDの両方の特性をもつ人もいます。 では、何をもって「障害」と考えるのか。大切な目安は、その特性のために本人が困っているかどうかです。
特性のせいで生きづらい、周囲となじみにくい。苦労しているのなら、それは発達障害と言っていいでしょう。 特性を持っていても、それによる生きづらさを感じずに生活できている、自分なりの工夫で適応しているならば、障害ではありません。 発達障害の特性は、あなたの個性でもあります。自分の個性を理解しながら、生きづらさをやわらげる方法を考えていきたいですね。 ■発達障害と間違われやすいこと 愛着障害 人は乳幼児期に、世話をしてくれる人(多くは親)との間にしっかりとした愛情の絆を結びます。これが人への信頼感や自己肯定感につながるのです。発達の土台に愛情の絆がないことであらわれるのが愛着障害。人とほどよい距離がとれない、過剰反応するなど、発達障害に似た様子が見られることがあります。発達障害は生まれながらの脳の機能によるものですが、愛着障害は成長の過程で起こります。