もはや米ドルは覇権通貨ではない...世界経済を揺るがす「新通貨」の可能性
長らく世界の基軸通貨として君臨してきた米ドルの地位が、BRICS諸国の台頭によって揺らぎ始めており、新たな国際通貨体制の構築が迫られているといいます。ゴールドの価値や、ドルの変遷を紐解きながら、今後の世界経済を左右する可能性のある金融システムの大変革について、書籍『グレートリセット後の世界をどう生きるか』より解説します。 【解説】都心のワンルーム物件が投資初心者に向いている理由 ※本稿は、長嶋修著『グレートリセット後の世界をどう生きるか』(小学館)より一部抜粋・編集したものです。
ゴールドにはなぜ価値がある?
現行金融システムは1944年、つまり80年ほど前のブレトンウッズ会議で決まっています。日本が第二次世界大戦の敗戦を迎える前年に、すでに金融システムの話し合いが行われていたことにも驚きますが、この時、次のような国際合意が取り決められました。 「ドルを世界の基軸通貨とする」「ドルの裏付けとして、金(ゴールド)1オンス=35ドルとする」 要は、お金の価値をゴールドに紐づけることによってその価値を担保したわけです。一定のお金を持っていれば、いつでもゴールドと交換できる、というわけです。この時日本円は「1ドル=360円の固定相場」というように、各国通貨の価値がドルに紐づけられ、そのドルの価値はゴールドに紐づけられ、ということになったわけです。 しかしそもそもゴールドに、なぜ価値があるのでしょうか。 「1オンス35ドル」といった基準も、要は「エイヤッ!」と根拠なく決めた基準であり、さらに言うと「そもそもゴールドにはなぜ価値があるのか」ということは、あまり掘り下げられることはありません。 ゴールドの価値の源泉については「古来から人々に重用されてきたから」とか「希少資源だから」「腐食や錆など変質しないから」とか、もっともらしい理由が語られますが、これも結局は「みんなが価値があると思っているから価値がある」といったトートロジーで価値が担保されているだけだと、私は考えています。 はたまた古代のシュメール神話では「アヌンナキという宇宙人が、自分たちの星を守るために必要なゴールドが枯渇したため、地球まで取りに来た」といった記述がありますが、それが価値の源泉なのでしょうか。いずれにしても、ゴールドの価値の源泉は昨日今日に生まれたわけではありません。 しかし、ゴールドもやがて価値を大きく毀損する時代がやってくるでしょう。それ以前に金融システムの改変時期が迫っており、その際には一時的にゴールドの価値が大きく上昇する場面があるのかもしれません。