開局から4か月あまりで700万DLを突破 AbemaTVは「マスメディア」を目指す
約30チャンネルの動画コンテンツが無料で視聴できる24時間放送のインターネットTV局「Abema(アベマ)TV」。サイバーエージェントとテレビ朝日の合弁会社「株式会社AbemaTV」が運営するこのネット上のTV局は、4月11日に本開局してから4か月あまりで、スマートフォン向けアプリのダウンロード数が700万を突破した。これは、サイバーエージェントにとっても、当初の想定を上回るペースだという。今後、インターネットTV局が席巻する時代が来るのだろうか。
「配信したコンテンツを含めて、提供するサービスの品質の高さが評価されたものと受け止めています。コンテンツについては、テレビで放映してもひけを取らないような高品質な番組の配信に努めてきました」と語るのは、サイバーエージェントの藤井琢倫執行役員(32)。AbemaTVでは編成制作局長を務め、コンテンツ調達や番組制作などを統括する。 AbemaTVは、「Abema news」や「ドラマCHANNEL」など約30チャンネルをそろえる。映像コンテンツは、テレビ朝日が保有する番組や、国内外の番組の権利を持つコンテンツ所有者との交渉を通じて調達。民放のテレビ局と同じくCM広告を募るビジネスモデルで、7月から広告営業を本格的に開始した。番組は、スマホのほか、タブレットPCやパソコンでも視聴できる。会員登録なしに無料で視聴できるが、見逃した番組を視聴できる有料サービス(960円/月)も用意する。 アプリの画面は、スマホの画面を横にして視聴する横型のUI(ユーザーインターフェース)を採用。アプリを立ち上げると、ロゴムービーが現れたのち、好みのチャンネルを選んで視聴開始。両隣のチャンネルのデータも同時に読み込んでいるので、隣のチャンネルに切り替えてもすぐに視聴できる。 4月11日の本開局以降、テレビCMによる宣伝を展開したほか、7月16日には全国各地に計1000万部の新聞折り込み広告を配布。この折り込み広告は、各チャンネルの番組放送予定が一覧できる新聞のテレビ欄型のデザインを採用し、AbemaTVがTV型のサービスである点を訴求した。AbemaTVのコンテンツ紹介を中心としたニュースサイト「AbemaTIMES(アベマタイムズ)」も展開している。 視聴者で最も多いのが35歳以下で、60%強を占める。同社では当初「テレビを見なくなった若年層を取り込む」という狙いを掲げていたが、想定通りとなった。「テレビ自体は今も面白いのですが、スマートフォンが普及するとともに良質なコンテンツが増え、結果としてスマホがテレビを見る機会を奪ったのです。だったら、スマホでテレビが見られたら良いと当社は考えました」と、藤井執行役員は語る。 一方、視聴者のうち女性の比率は30%弱にとどまるため、今後は女性の視聴者拡大にも力を入れる。9月には、恋愛ものなど女性に受けそうな映画を毎日配信する「毎日ロードショー」を展開する予定だ。