開局から4か月あまりで700万DLを突破 AbemaTVは「マスメディア」を目指す
順調のようだが、見えてきた課題もあるという。「従来のテレビだと、帰宅したらテーブルの上のリモコンをつける、といった生活習慣のある人が少なくないと思いますが、AbemaTVはそのような人々の生活習慣にまだ入り込めていません。毎日アプリを開くような生活習慣をどう作ってもらうかが、今の課題です」と藤井執行役員。 この発言からもにじみ出ているが、AbemaTVが目指すのは、「マスメディア」だ。サイバーエージェントの藤田晋社長は「既存のマスメディアと肩を並べられるメディアに育てたい」という意向を示す。 藤井執行役員は、他の動画サイトとAbemaTVとは「視聴態度」が異なると説明する。他の動画サイトは、コンテンツを探して見たい時に見るというライブラリ的な利用方法だが、AbemaTVの場合、まずアプリを立ち上げて、たまたま目にとまった面白い番組を視聴するという、いかにも既存のテレビのような視聴スタイルが主流になると見る。 となると今後、AbemaTVは既存のテレビ局を置き換える存在になるのか、と考えてしまうが、藤井執行役員は明確に否定する。「既存のテレビ局は100%なくなりません。AmebaTVはネット中心の生活でテレビから離れていた人をカバーしますので、既存のテレビと補完関係にありますし、むしろ、テレビの視聴者全体の拡大に貢献できるのではないかと考えています。実際、テレビは本当に面白いですから」。 今後は、自社制作コンテンツを拡大する予定で、番組制作のスキルを有する人材の確保に力を入れる。「『昨日あれ見た?』と仲間内で言われるような影響力のある番組を自前で制作できるようになりたい」。 (取材・文:具志堅浩二)