トランプ氏「口止め料」裁判、有罪の評決-米大統領経験者で初めて
(ブルームバーグ): トランプ前米大統領が不倫口止め料を不正に処理したとして罪に問われている刑事裁判で、トランプ氏が有罪か無罪かを判断する陪審員団は30日、有罪の評決を下した。
米大統領経験者に刑事裁判で有罪の評決が下されたのは初めて。米大統領選の投票日を約5カ月後に控え、政治的展望を塗り替える可能性がある。
トランプ氏は業務記録を改ざんしたとして、計34件の虚偽記載の罪に問われ、12人で構成する陪審員団は全ての罪について有罪との判断を下した。28日に最終弁論が行われ、29日から陪審員が評議に入っていた。
トランプ氏は2016年大統領選に先立ち、自身と以前に不倫関係にあった元ポルノ女優のストーミー・ダニエルズ氏に口止め料を支払い、それを隠すため業務記録を改ざんしたとされた。
ニューヨーク州の検察は、トランプ氏が不倫に関する話を隠すことで大統領選に影響を及ぼす広範なたくらみを主導したと主張していた。
11月5日の大統領選でホワイトハウス返り咲きを狙うトランプ氏は、今回の有罪評決で法的・政治的に険しい道筋をたどることになりそうだ。
7月11日に量刑言い渡し
量刑言い渡しは7月11日に設定された。同月15日からはウィスコンシン州ミルウォーキーで共和党全国大会が開かれ、トランプ氏は同党大統領候補に正式に指名される見通し。
トランプ氏はニューヨーク市マンハッタンにある裁判所法廷の外の廊下で記者団に対し、「これは不正に仕組まれた恥ずべき裁判だ」と述べるとともに、「真の評決は11月5日に米国民によって下される。そして人々はここでの出来事を覚えているだろう」と話した。
トランプ氏は、ニューヨーク時間31日午前11時(日本時間6月1日午前0時)からトランプタワーで記者会見することを自身のソーシャルメディアで明らかにした。
トランプ氏(77)はこの他にも刑事裁判を抱えている。20年大統領選結果を覆そうとしたとして罪に問われている2件と、機密文書を不適切に取り扱ったとされる問題の1件だが、これら3件の公判スケジュールは組まれていない。