【知らないと怖い気象病】突然の頭痛やめまい…放っておくとどうなる? 医師が語る“最悪の事態”
気象病悪化の要因その2 ストレス
またストレスも、気象病の大きな悪化要因になっていると言います。 「精神的な不安があると交感神経が緊張し、気象病は悪化しやすくなります。仕事や人間関係…何かと精神的な負担ががかかりやすい現代。そんなストレスフルな生活を長く続けていることで、私たちは自律神経が乱れ以前より気象変化を受けやすくなっています。 私のところに来る患者さんには、以前は頭痛持ちではなかったのに、リモートワークになってから気象の影響で頭痛が出るようになったという人もけっこういます。家にいるのであまり動かないし、ずっと同じ姿勢でパソコンを見ている。首肩に負担がかかって頭痛を発症するようになったのです」 他にも今は、温暖化で大雨や台風が増えるなど、気圧変化も激しくなっています。それだけに、そういった様々な要因を考えながらケアすることが必要なのです。 「気象病は、専門外来に行かなければ『ストレスが原因の自律神経失調症』と診断されることが多いですね。でもひとくちにストレスといってもいろいろある。ストレスというとメンタル的なものと思いがちですが、スマホを見て首肩に負担がかかることも、気圧変化も、体にとっては全てストレス。気象病外来ではそういった全てのストレス要因を把握し、生活リズム、運動、薬……とトータルで治療するようにしています。 たとえば自律神経の乱れから胃腸が悪くなると、幸せホルモンと言われるセロトニンの分泌が減り、うつっぽくなります。胃腸が健康でないと全体的な健康にもつながらないので、そういった場合は食品での対応も必要になってきます。たとえばヨーグルトなどの発酵食品を積極的に摂りましょう、などと。そうやって自律神経を乱す大元の要因に対処すると、そこに付随した様々な不調も改善していきます。だからこそ自分の不調が気象から来ているのかどうか把握し、気象病専門外来を訪れることが有効なんです」
どんな人が気象病を発症しやすい?
昨今は、気象病が悪化しやすくなっているだけでなく、発症する年齢も幅広くなっているのだそう。 「以前は20~40代が多かったのですが、今は10~50代と幅広くなっています。気象病は遺伝しやすい傾向が高いので、親が気象の影響を受けやすいという人は、より注意が必要でしょう。 また以前は、患者さんは女性が圧倒的に多かったのですが、最近は男性、そして子供も増えてきました。とくに起立性調節障害といって、血圧の調整がうまく出来ず朝起きられなかったり立ち上がれないという子供が増えているのですが、この不調は天気によってさらに悪化しやすいんです。 マスクをつけるだけでも温度は上がりますし、今は常にスマホを見てベッドにまで持ち込む子も多い。これだけストレス要因が多く、交感神経と副交感神経のリズムも乱れていれば、そりゃあ気象の影響も受けるよね、という話です。トータルな診療が必要だと思いますので、いつまでも症状が消えないというお子さんを持つ場合は、気象病外来を訪ねてみるのも一つの手かと思います」