なぜ黒田は開幕投手に指名されなかったのか?
広島の開幕投手(25日・マツダスタジアムでの横浜DeNA戦)にクリス・ジョンソン(31)が指名された。 「最初に投げる投手が、1年を通じてローテーションの軸になる。ジョンソンには実績がある。今日伝えた」と緒方監督が、先日明らかにしたものだ。来日2年目の左腕は、昨季、14勝7敗、防御率1.85の素晴らしい成績を残し、防御率タイトルを獲得した。特にマツダスタジアムでは16試合に先発、10勝3敗、防御率も1.66と、抜群の相性を誇る。対横浜DeNAには4試合に先発、2勝2敗、防御率3.33と良くないが、筒香、梶谷、ルーキー捕手の戸柱ら左に好打者の多い横浜DeNAには、サウスポーをぶつけたいとの狙いもある。外国人投手が広島で開幕を務めるのは2013年のバリントン以来だという。 エースの前田健太(27)が、ポスティングでドジャースに移籍。開幕投手の大本命がいなくなる状況に緒方監督は、当初、先発に再転向した大瀬良大地(24)に自覚を促す期待も込めて開幕を任せる考えだった。だが大瀬良はキャンプで調子があがらず、右ひじを痛めて開幕には間に合わなくなった。 本来ならば、渡米前に5年連続開幕投手を務めた経験もあり、チームの精神支柱でもある黒田博樹(41)が、開幕指名されてもおかしくなかった。しかし、緒方監督はジョンソンを指名した。 なぜなのか。 その理由には開幕投手をどうとらえるかの定義が大きく影響している。 近鉄時代に開幕投手を14度務め、最多の日本記録を持っている鈴木啓示氏から「開幕投手はエースの称号。143分の1であるが、ただの1試合ではない。開幕勝利は1年の戦いを占う象徴だし、チームに勢いを呼ぶことになる。責任あるエースが投げるもの」という話を聞いたことがある。 日ハムの栗山監督も、大谷翔平(21)への開幕投手伝達は、元祖二刀流のベーブ・ルースの誕生日だった2月6日に行い、2月22日、午後2時22分22秒にメディアに発表した。開幕投手を重要視している証拠だ。巨人の開幕投手に内定している菅野智之(26)も、「昨年、開幕に投げた翌日から、翌年の開幕に投げることを意識してきた」と語るほど、その栄誉を大きなモチベーションにしていた。