大阪公立大を世界200位以内の輝く大学へ 理事長が掲げる外国人倍増と秋入学導入
独創的な技術や商品開発を進める企業の交流団体「関西中堅企業の会」(幹事=島田康史・島田商会社長)の定期総会が9月10日に大阪市内で開かれ、公立大学法人大阪の福島伸一理事長が「大阪・日本・世界で輝く大阪公立大学を~新たな成長への挑戦~」のテーマで講演した。主な内容は以下の通り。 日本の社会構造は大きく変化しており、超少子高齢化してきている。そして日本の国際競争力が低下しているのではないか。日本の1人当たり国内総生産(GDP)や論文数はどんどん低下している。日本の競争力のベースとなるようなことを大学はやっていかないといけない。 大阪公立大は、ともに100年以上の歴史を持つ大阪府立大と大阪市立大を統合して一昨年4月に設置された。学生数が約1万6千人という非常に規模が大きな学校。私は昨年4月にこの大学の設置者である公立大学法人大阪の理事長に就任した。大学を知の拠点として発展させるのが役割。地元大阪の成長と発展にも貢献し、世界で輝く大学をつくっていく。社会に開かれた大阪公立大にしたい。 まだ約1年半だが、少しずつ成長に向けて変わってきたと実感している。大学の役員会はほぼ男性だったので、民間の女性にも入っていただいた。国公立大の志願者数で日本1位となっており、大変うれしく思っている。 国際競争力強化という点では、国内外の研究者や学生から選ばれる大学でないといけない。外国人の研究者や学生は現在700人程度しかいないので、まずはこれを倍増させたい。ビザ取得などの手続きのサポートや寮も新しくする。 海外の大学との連携強化や海外の拠点も増やす。日本人の学生や研究者を海外に送りたい。こういう取り組みを通じて、英教育誌によって発表される「世界大学ランキング」で10年後に200位以内を目指す。 また、秋入学も導入したい。国内外から多様な人材を受け入れ、グローバルで活躍できる人材を育成する。スタートアップ(新興企業)の創出支援にも取り組む。 2025年大阪・関西万博に向けては、地元の大学として機運醸成に協力したい。大阪公立大は住宅大手の飯田グループホールディングスと共同出展を予定しており、未来型住宅などの共同研究成果を披露する。
■ふくしま・しんいち 昭和23年生まれ。京大法学部を卒業後、松下電器産業(現パナソニックホールディングス)に入社し、副社長などを務めた。その後、関西国際空港会社社長、新関西国際空港会社会長、大阪国際会議場社長などを歴任し、令和5年4月から公立大学法人大阪理事長。