「子どもたちには“外の居場所”が大事」沖縄移住の経験を持つパパイヤ鈴木が考える子育て環境
「今は野球ができる公園も少ないし、遊べる場所があんまりない」と語るのは、振付師のパパイヤ鈴木さん。だからこそ子どもに“外の居場所”をつくり、日常生活を元気に過ごしてもらえるよう、ダンス教室のカリキュラム制作にも携わっているという。よりよい環境で子育てするために決めた沖縄移住や、地域の大人が子どもの居場所づくりに努めることの大切さに関して、話を聞いた。(聞き手:荻上チキ/TBSラジオ/Yahoo!ニュース Voice)
2012年に沖縄へ移住「想像力豊かに育つ自然あふれる場所で子育てしたかった」
――2012年に東京から沖縄に移住されたそうですが、どんなきっかけがあったのですか。 パパイヤ鈴木: 我が家には娘と息子がいるのですが、子育てのテーマは「女の子はハイジで、男の子はターザン」なんです。自然の中で育って、自由で、想像力豊かで。そんなふうに子どもたちを育てたいなと、僕も奥さんも思っていたんですね。 あるとき、1カ月間くらい家族で沖縄に行く機会がありました。子どもは2人とも小学生だったんですけど、現地でゴルフを教えてもらったんですよね。その教え方が子どもの個性を伸ばすような方法で、すごく良かった。だから沖縄出身のゴルフ選手が多いのかな、なんて思ったりしました。気になっていろいろと調べてみたら、沖縄は自然教育がさかんだと知りました。それがきっかけで、興味を持つようになったんです。 奥さんとも一緒に「沖縄に住むのもいいかもしれないね」と話したりして、移住について前向きに検討しはじめたのが2011年頃です。でも東日本大震災が発生して、震災の影響で沖縄に引っ越す人が増えたことで物件がなかなか見つからず、すぐに引っ越すことはできませんでした。1年くらいかけてやっと希望に合う物件が見つかって、2012年に沖縄に移住しました。 ――沖縄に移住することをお子さんに話したとき、どんな反応でしたか。 パパイヤ鈴木: 子どもは最初、あんまり気が進まないようでしたね。でも僕が「沖縄に行けば新しい友達が増えるよ」とか、「沖縄でまたゴルフができるよ」とか、そんな話をしていたらだんだんと沖縄に興味を持つようになってきて。話し合った結果「じゃあ行く」ということになりました。「東京の友達を沖縄の家に呼びたいね」なんて話したりして、わくわくしてくれました。 子どもの友達の中にも、震災をきっかけに県外や海外に引っ越していった人が結構いたんです。「移住ってありだよね」「めずらしくないよね」という雰囲気があったことも、少し影響したのかもしれません。 ――お子さんはすぐ沖縄になじめましたか? パパイヤ鈴木: 特に上のお姉ちゃんは、最初の頃は少しもめることもありました。間違ったことは間違っているって言うタイプの子なので。沖縄での転校初日、授業中に男の子たちがざわざわしていて、「先生の声が聞こえないから静かにしてくれる?」って言ったみたいなんですよ。確かに正論なんですけど、普通は転校初日にそんなこと言わないですよね。そしたら「東京に帰れ」みたいなことを言われたらしく、「悔しい」って泣きながら帰ってきました。 でも、いったん人となりを理解してもらえれば、その後の人間関係がわりとうまくいくことが多い子でもあるんです。曲がったことが嫌いで、環境が変わってもあえて自分を変えることはせず、自分が環境を呼び込むというか。娘はそういうところがあって、沖縄でもたくさん友達ができたので、すごくよかったなと思っています。 ――お子さんたちは沖縄で生活したことを、パパイヤさんにどのように話していますか。 パパイヤ鈴木: 直接子どもたちに聞いたことはないんですけど、おそらく沖縄に住んでよかったと思っているんじゃないかな。小学校から中学校の終わりまで、一番多感な時期を沖縄で過ごしたわけですが、2人とも沖縄の自由な空気感の中で育ってきた感じがあるんですよね。いま、お姉ちゃんは東京の大学に、弟のほうは海外の専門学校に通っているんですけど、中身は沖縄の人っぽくなっているような気がします。