乱立!価格競争激化で淘汰が進む「フィットネスクラブ」…トレーナーの知識不足で全治1ヵ月の事故も
健康ブームもあり、街角でフィットネスクラブの施設やパーソナルトレーニングジムを見かけるようになった。最近は運動の場にとどまらず、カラオケやエステなどの付帯サービスで集客し、価格競争も激化している。一方、施設を維持管理するコスト上昇、トレーナーの不足や人件費上昇などで、淘汰が進んでいるとの見方が出ている。 【画像】すごい! 還暦とは思えない! ゴージャスの見事なボディはコチラ 多様なサービスで利用者の選択肢が増えるのはありがたい。一方、見様見真似のトレーニングは事故につながる恐れがあり、適切にする必要があると、専門家から指摘も出ている。何が起きているのだろうか。 ◆「チョコザップ」の登場で価格競争が激化 フィットネスクラブ業界でいま、「コンビニジム」として話題なのがチョコザップ。これまでも24時間営業で通い放題のジムはあったが、月額2980円(税抜き)と低料金で、カラオケやコインランドリーのほか、エステや脱毛、ネイルなどのセルフマシンを利用できる施設もある。付帯サービスと低料金を武器に、パーソナルジムのライザップが全国に店舗を展開している。 フィットネスクラブ業界はコロナ禍に外出自粛の影響を受けていたが、コロナが一段落した後は、多様なサービスを提供する動きもあり、競争が激化している。 調査会社の東京商工リサーチは、フィットネスクラブの倒産が昨年度29件となり、前の年度の16件から急増し、統計開始以来で過去最多になったという。調査対象は、政府の日本産業分類(スポーツ施設提供業)に該当し、負債額1千万円以上。倒産急増の背景などについて、次のように分析している。 「駅近、安価、24時間年中無休など、さまざまなサービスを提供するフィットネスクラブが乱立し、競争が激化している。その一方で、コスト増への対応やトレーナーなどの人手不足もあって、業績不振が続くクラブの淘汰が急速に進んでいる」 フィットネスクラブ業界について、東京商工リサーチ情報本部の後藤賢治さんも「価格とサービスで利用者の獲得競争が激化している」と言う。 チョコザップのような低料金で多様なサービスを提供する事業者が出てきて、地域に根差してきた既存の事業者の経営が厳しくなっていると指摘。事業者には設備の維持や、新店舗の投資負担が重くのしかかり、余力がないと思い切ったことができなくなっているという。後藤さんは「先行投資が重く、決算を見ていると、大手でも利益がなかなか伸びないところもある」と話す。一方、サービスの多様化が進み、「利用者にとっては幅広く選択できる」とも言う。 健康志向を背景に、フィットネスクラブの利用者は増えている。経済産業省の特定サービス産業動態統計調査で、昨年が延べ2億1768万人と、前年に比べ3.5%増。クラブ全体の売上高は2784億円で、同3.8%増となった。