アギーレ新監督の所信表明を読み解く
日本代表のハビエル・アギーレ新監督が11日に来日。契約書の正式にサインした上で、都内で就任会見に臨んだ。濃紺の日本代表スーツに身を包んだアギーレ監督は無数のフラッシュを浴びながらひな壇に座ると、母国メキシコの公用語であるスペイン語で約1分半にわたって第一声を発した。 ともに会見に出席した日本サッカー協会の大仁邦弥会長、交渉に当たってきた原博実専務理事(兼技術委員長)への感謝の言葉や、4年後のワールドカップ・ロシア大会出場への決意表明が中心だったが、続いて行われた質疑応答では、自らの手でこれから作り上げて行く新生日本代表の設計図を披露。会見場によく響く野太い声で、ときには左手を大きく振りながら所信を表明した。最も注目される代表選手選考の基準とチーム作りの指針について、アギーレ監督はこう言及した。 「とにかく将来性のある選手を呼びたい。代表に入ることに意欲的で、国を背負うことに意欲的な選手を呼びたい。個人でなくチームでプレーし、試合に貢献できる選手を呼びたい」。 「ワールドカップ・ブラジル大会ではテレビ解説の仕事をしていたので、日本代表の試合はもちろん見た。過去についてコメントするのは好きではないし、前監督の内容にコメントして誤解を招くのは嫌なので差し控えたい。私が作りたいのは競い合う、切磋琢磨するチーム。どんな相手であろうと全力で戦うチームを作りたい」。 元日本代表MFで現在は解説者を務める水沼貴史氏は、「言っていること、やろうとしていることに対して非常にいい印象を持った」とアギーレ監督が掲げる方向性に理解を示した。「代表チームに必要なことは何かということを、よくわかっている監督だと感じた。アギーレ氏自身もメキシコ代表選手として1回、メキシコ代表監督として2回のワールドカップを経験しているので、チーム内に競争原理がはたらき、代表への誇りや責任を背負わなければ戦えないことを理解しているのだと思う。前任者の結果に対するコメントを拒否しているように、前のチームがどうだったかはまったく関係ない。メキシコ同様に世界の中ではチャレンジャーに位置づけられる日本が、勝つためには何をしていくべきなのかを伝えてくれる監督なのではないか」。