25歳でホストから福祉の道への転身を決意。 スウェーデンへ赴き帰国後”NPO法人”を設立その訳に迫る
経営者としての資質 苦労とやりがい
「立ち上げ時期は、経営者としての資質が圧倒的に不足していました」と話す橋本さん。現場や支援への思いが強かったので、共感してくれる人は多かったのですが、リーダーとして示すビジョンやロジックが曖昧だったと感じていたといいます。 「今思えば『いいことをしているから、福祉だから許される』というような甘さがありました。資金繰りや税金のこと、事業計画策定や組織マネジメントなど、わからないことばかりでしたので、経営者の方々や税理士さん、労務士さんなど専門家から教えてもらいつつ、現場業務も主として行うプレイングマネジャーの時期が続きました」 現場目線と経営者目線が混在して方向性を明確に示せないジレンマもあったといいます。具体的な事例として、私たちの仕事は一人の障がいのある人の大きな自己選択にかかわりますが、その際に、コスト(時間・金銭)を考えると、本来かかわれる範囲に限界があります。しかし、現場目線で「なんとかしたい」という思いが先行し、コストを度外視して動いてしまう。その結果、組織マネジメントが不十分になりトラブルが発生することもたびたびありました。 「このような状況がしばらく続き、自分に不足していることが『人を信頼して任せる』ということに気づきました。どこかで『自分の方ができるから』という怠慢さがあり、人に任せることができなかったのです。そこから、組織体制を見直し、現場での私の役割を職員さんにお願いして任せることにしました。その結果、私がいたときよりもさらにいい現場になったと感じています」と笑いを交えながら話していました。 「もちろん現場では日々課題があり、職員からの相談も多いですが、そのような課題に向き合って職員一人ひとりが成長している姿を見られるのがとても嬉しいです。このような経験を通じて、職場はお互いの強みを活かしつつ不足している部分を補うようなチーム作りが大切だと実感しています。たとえば、私自身の強みは『有言実行、即行動』なので、その姿を示すことが役割で、現場のきめ細かなことや仕組みづくりを現場の職員さんに担ってもらっていることで成り立っていると考えます」 また「現場あっての仕事なので、自分が評価されるよりも、職員や現場が評価されることの方が嬉しい」と橋本さんは語ります。