次期韓国大統領選に意欲? パン・ギムン氏の国連事務総長としての評価は
潘基文(パン・ギムン)国連事務総長が12月31日をもって、任期満了で退任します。その座はポルトガル出身のアントニオ・グテーレス氏に引き継がれます。 【写真】弱体化した? 国連の役割は終わったのか 2007年1月から10年間、事務総長を務めてきたパン氏のもとで、国連は対テロ戦争、地球温暖化、難民問題など、困難な課題に直面し続けてきました。退任後には韓国の次期大統領選への出馬も取り沙汰されるパン氏。国連事務総長としては、どんな功績や評価があるのでしょうか。(国際政治学者・六辻彰二)
事務局責任者と政治的役割
国連事務総長は、約4万4000人いる国連事務局の職員の責任者です。安全保障理事会の勧告に基づいて総会によって任命され、任期は5年。原則的に任期は2期までになっています。 事務総長は職員を通じて、総会をはじめ、国連で開催される会議の運営や、報告の作成などに責任を負います。また、事務局の責任者として職員の人事権をもち、職員の任命、任用の終了、懲戒なども行います。これに加えて、国連の各機関から委託される任務を行い、その活動内容は毎年開催される総会に報告されます。 これら実務の責任者である一方で、事務総長は政治的な役割も担います。その主な仕事には、安保理、総会、経済社会理事会など、国連の方針を定めるあらゆる会議に出席することが含まれます。これらの会合での議題の設定などを通じて、事務総長は自らの意思を世界に発信できます。 これに加えて、問題が発生している国への対応に関しては、安保理などに注意を促し、対策を提案できます。さらに、問題のある国に自らあるいは特使を派遣して、調停活動を行うこともできます。 とはいえ、国連事務総長の権限は、必ずしも強くありません。そもそも国連そのものが「世界政府」ではないため、その責任者であっても、事務総長には加盟国間の対立を一方的に処理する権限はありません。さらに、国連憲章で「主権尊重」が定められていることもあり、事務総長が加盟国内部の問題に対して、何らかの強制措置をとることもできません。