次期韓国大統領選に意欲? パン・ギムン氏の国連事務総長としての評価は
国連改革や温暖化対策
第8代国連事務総長のパン・ギムン氏は、外交官としてキャリアをスタートさせ、2004年から3年近く盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権で外務大臣を務めた経験を持ちます。国連事務総長には2007年1月1日に就任しました。 パン氏が事務総長として力を入れた活動としては、国連改革、地球温暖化対策、中東問題などが挙げられます。 これらのうち、まず国連改革は、国連のスリム化を目指したものでした。環境や人権をはじめ、1945年の発足当時になかった業務が増える につれ、国連は徐々に肥大化。国連でのポストが貧困国のエリート層にとって魅力的な転職先であることは、これに拍車をかけています。就任直後、パン氏は国連職員の雇用期間を基本的に5年に設定し、業務評価などを厳格にしました。これは国連、特にニューヨークの本部職員から不評だったものの、外部からは概ね好意的に受け止められました。 次に、地球温暖化対策は、その就任からほぼ一貫して、パン氏のメインテーマの一つでもありました。パン氏はハーバード大学留学の経験もあり、米国との友好関係が深いといわれていますが、就任直後の2007年3月のブッシュ大統領(当時)との会談では、京都議定書から離脱していた米国に温暖化対策の推進を求めました。その後も気候変動枠組み条約の締約国会議(COP)などで、世界各国が一致して温暖化対策に取り組む必要性を発信し続けました。2014年9月には国連温暖化サミットを主導し、これは各国が温室効果ガスの排出規制の義務を負うことを定めたパリ協定の締結(2015年)に道筋をつけることに貢献したといえます。 最後に、中東問題について取り上げます。パン氏が第2期目に入る前後の2010年末から2011年にかけて、中東では「アラブの春」と呼ばれた一連の政変が発生。この際、パン氏は中東の人々が「我慢できない」状態にあるとして、中東各国の政府に状況の改善を求めた一方、米国をはじめとするNATO諸国がリビア内戦へ介入した際には、各所に働きかけて外交的な解決を模索しました。また、シリア内戦やイエメン内戦をめぐっては特使を派遣し、当事者同士の交渉を仲介。このうち、シリア内戦に関しては、2016年にデミストゥラ特使の主導によって、ジュネーブでアサド政権と反体制派だけでなく、それぞれを支援する米ロを含めた和平協議が開かれました。