「宇宙サウナ」星空が投影されたサウナ室で温まり、屋外で本物の夜空を眺めながら心身整える
宮崎県西都市でサウナ事業を始めた元宇宙技術者・丸山敬貴さん(28)
星空が投影されたサウナ室で温まり、屋外で本物の星降る夜空を眺めながら心身を整える。元宇宙技術者が企画する、その名も「宇宙サウナ」。年明けのリニューアルオープンを目指し、宮崎県西都市穂北にある祖父母宅の倉庫を改装中だ。「自然や宇宙を感じながら、体も気持ちもリラックスできる。西都の盛り上げに貢献できる人気スポットにしたい」と夢を描く。 【動画】山寺にある「サウナ極楽」…汗は滝行で洗い流す
出身は大阪府。中学で映画「宇宙兄弟」を見て宇宙飛行士に憧れた。岡山大卒業後、民間の「宇宙技術開発」に就職し、国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」の管制業務などに従事した。
2021年からは宇宙航空研究開発機構(JAXA)に出向。宇宙飛行士が使用する日用品や宇宙食の開発を担当した。
ただ、夢だった宇宙飛行士の選抜試験には書類選考で落選。多忙も重なって体調を崩した。離職後、再スタートの地にしたのが西都市だった。
「宇宙の夢には区切りを付け、田舎でゆっくりのんびり働きたい」。祖父母宅に引っ越し、同市の地域おこし協力隊に応募し、採用された。
広報サイトの制作などあたる傍ら、「自主企画業務」として資金援助を得て23年7月、庭にテントサウナを設置した「茶臼原ひみつのサウナ」を開業した。日々の生活に疲れ、のどかな茶臼原台地の田園風景に癒やしを求める人が徐々に増加。サウナ事業に手応えを感じ、事業拡大を模索した。
「独自色を出すための自分の強みは、やっぱり好きな宇宙だ」
新たに企画したのが「宇宙サウナ」だった。プラネタリウムと薪ストーブを備えたサウナ室や、ウッドデッキに水風呂を配置した外気浴場などを計画。今夏、資金調達のためにクラウドファンディングを活用したところ、267万円が集まった。現在、テントサウナは休業して改装作業にあたっている。
牛舎だった建物を活用したグッズショップ、星について学ぶコーナーも企画している。「宇宙へのロマンや興味を持ってもらえる仕掛けを作っていきたい」とアイデアは尽きない。(波多江航)
コミック化で開業経緯紹介
「宇宙サウナ」が早くもコミック化した。キャラクターコンテンツの企画・制作や地域振興を手がけるミヨ・エンターテイメント(西都市)とコラボ。丸山さんがキャラクターとして登場し、開業の経緯やサウナの魅力を紹介するコミックで、同社の公式サイト(https://www.miyo-ente.jp/)内で公開されている。サウナのオープンにあわせ、サウナや茶臼原を舞台にしたファンタジー作品の配信や、グッズ製作・販売も予定されている。