だしを取らないけど「毎食みそ汁は飲みたい」飛田和緒の冷蔵庫に必ず入っているもの
だしは煮出さない。水を注ぐだけ
その頃から、「ちゃんとしただしを取らなくては」と教科書通りのだしを取るようになっていたと言います。 初めての料理本を出版したのも、同じ時期だったでしょうか。もしかすると、肩に力が入っていたのかもしれません。 そんな飛田さんのやり方が変わったのは、おいしい昆布をいただいたのがきっかけでした。 「ちゃんとだしを取ろう! と思うようになってからは料理の教科書通りに作っていました。ちょうどそのころ、北海道の知人が真昆布を届けてくれるようになり、それを使い始めたのです。おいしい昆布は、だしもやっぱりおいしい。 鍋ものをやるときは、鍋に昆布と水を入れてしばらくおいてから火にかける。これを繰り返すうちに、“これって浸けておくだけでおいしいじゃない!”と気がついたんです。 すし用のごはんを炊くときも、昆布を浸水させている間に十分に昆布のうまみが出ている。それで水に浸けておくだけでいい、となったわけです。いろいろ試してみると、ひと晩(6時間ほど)はおいてゆっくりと時間をかけることが大切です。 最も簡単な方法ですが、いただいた昆布をおいしく食べるには、一番いいやり方と、それから“水だし”に落ち着きました」 だし素材を水にじっくりと浸けておく水だしの良さに気がついた飛田さん。何より手軽にできるから続けられます。 「まずは昆布水、昆布の水だしからのスタートでした。それから昆布以外もいけるのではないかと、煮干し、かつお節、しいたけと試してみたら、これがとても使い勝手がよくって続けることになりました。 水だしのよさはなんといっても、手軽にできること。保存容器に入れて、水をジャージャー入れればいいのですから」
最後は煮出してとことん使いきる
だし素材にはだし昆布、かつお節、煮干し、干ししいたけなどが知られています。飛田さんは旅先で見つけた飛魚を干した“あご”なども使うこともありますが、水だしに向く素材、向かない素材はあるのでしょうか。 「向かない素材は基本的にないです。どれも水だしでOK。水だしは煮出したものよりも香りが薄いので、慣れるまでは少し物足りなく感じるかも。特に昆布だしは“これがだし?”と思うくらいですが、うまみはたっぷり出ているはず。薄味に慣れないうちはかつお節との合わせだしにするといいですよ。 我が家での使い道はおみそ汁のことが多いので、昆布、かつお節、煮干しを飽きないように順繰りに入れてあります。香りが強い干ししいたけは、時々ですが、今年の夏は、“干ししいたけだし”でそうめんをよく食べましたので、だしを取ったあとのしいたけで煮ものや炒めものもよく作りました」 水だしはどんな料理に合うのでしょうか。 「干ししいたけだしは、みそ汁に使うことはありませんが、昆布やかつお節だしとミックスして汁ものに使ったりします。そうめんつゆもかつお節や昆布のだしだけだと飽きるので、しいたけだしでめんつゆを作ります。 あとはそんなに気にせず使っています。中華料理にだって水だしを使うことも。たとえば、麻婆豆腐やえびチリ、八宝菜などに少しだけ水分を加えるときは水だしで十分。中華料理はどれもパンチがある味なので、水だしでもおいしくできますよ」 水だしはどれくらい日持ちするのでしょうか。途中で継ぎ足してもよい? 「水だしはどれも2~3日間で使いきります。一回使い終わったら、もう一度同量の水を注ぎ入れます。ただし2回目は1回目よりはうまみは薄くなります。それでもおうちのみそ汁や煮ものに使うなら十分と私は思っています」 水だしをとったあとのだし素材は捨ててしまう? 「いえいえ、水だしを取っただし素材は鍋に入れ、水を2~3カップ加えて煮出します。これが私にとっての二番だし。沸騰したら弱火にして5分ほど煮ると、多少は濁りますがまだ十分うまみは出ます。だし素材はそれなりにお金がかかりますから、元をとるまでとことん煮出します」 「煮出した煮干しはもうカラカラになるので捨てますが、昆布、かつお節はこのあともまだ使えます。肉と炒めたり、刻んで野菜の即席漬けに混ぜたり。昆布はラップで包んで冷凍保存おき、ある程度量がたまったら佃煮も作れます。かつお節は空炒りしてしょうゆやみりんで味をつけてふりかけに。お弁当のごはんに散らすといいですよ」