京都・新風館でポップアップ開催!CFCLとHOSOOによる古代染色のドレスが示す未来
国産シルクのニットドレスに、HOSOOの古代染色研究所にて草木による染色をほどこした。平安期の色彩を再現した柔らかな色合いがエレガント。POP UP限定アイテム。ドレス(左)茜¥253,000・(右)梅¥253,000/CFCL
細尾 もともと医学の「服用」という言葉は古代染色から来ているという説があります。昔は衣が薬でした。体に良いものイコール美、というのが古代染色の考え方なんです。CFCLは自然環境に配慮しながら現代的な感覚を持って服を作っています。一方でうちの古代染色は自然の植物を身にまとうわけだけれど、植物は1つ1つの個体が違うし、土壌や年によっても変わることも含めて、自然と共生せざるを得ない。自分の中でつながりました。 高橋 私には、日本古来のものや国内にある産地の素材を使って次の時代に向けて発信していきたい、という希望があります。日本は、古代染色のように千年以上も受け継がれた技術が存在するように、ものづくり大国としての歴史が深い。それを世界にチャレンジしていく時のアドバンテージとして使わない手はないですよね。 細尾 過去の中に未来があるということですね。HOSOOでは、2020年に京都、西陣で古代染色研究所を立ち上げ、1000年以上昔、日本において実践されていた「自然染色」「植物染」の再現の研究を行なってきました。自然染色のものって、時を経ることでまた美しく変わっていく。それにしても、今回のコラボレーションは楽しかった。大変だったけれど。 高橋 思った以上に大変でしたよね!いままで扱ってきた再生ポリエステルと違って、シルクの製品染めにおける伸縮率や色の定着、堅牢度がわかっていなかったので悩みました。季節的に染められる植物のタイミングから茜と梅の2色でドレスを染めましたが、制作過程で新しい発見がいろいろあって自分たちの経験値も上がりました。 細尾 細かいことを探っていく作業でしたよね。それでおそらく世界でも我々にしかできないものが出来上がったと思います。 高橋 大阪万博での巨大な西陣織のドーム建設構想など、細尾さんのスケールの大きい圧倒的なチャレンジにも、刺激を受けています。 細尾 ありがとうございます。日本はファッションも工芸も、クラフトマンシップという強みがあります。お互いのそれがしっかり混ざり合って熟成させれば、世界があっと驚くようなものが作れるのでは。 高橋 細尾さんとよく話していますが、日本のシルクは戦後に世界でも大きなシェアを占めていたし、なによりも高品質。各地の養蚕とクラフトが密接につながっていたと思います。 細尾 シルクって6,000年も前から人と共にあって、日本には着物文化があったけれど、今や斜陽産業。ただ、まだぎりぎりもう一度挑戦できるタイミングだと思います。いま、CFCLのようにB Corp認証取得や、AIなどの活用の可能性を研究しているところで、自分たちの見える場所と環境でやれたらいいなと思っています。 高橋 細尾さんの仕事はきちんとしたストーリーができ上がっています。どこのどんな人によって作られているのか。日本のサプライチェーンには一つひとつにストーリーがあることが強みです。これから先は、アウトプットまでにストーリーが存在するのが新しいクリエイションの形だと思います。今後も細尾さんとのコラボレーションのようなプロジェクトを広げていきたいと思っています。