「インドの超富裕層」は桁外れ…ダウン症のある娘との世界一周旅、飛行機での奇跡の出会い
ひょんなことから交流を持ったインドの富裕層の女性
インドでは、現地のご夫婦と食事の約束をしていた。 実は、バンコク(タイ)からニューデリーへ向かう飛行機の中で、隣に座り合わせた女性と会話が弾み、約4時間のフライト中ほぼ丸々お喋りしていた。彼女はテキスタイル関係の会社を経営しており、子どもたちは皆アメリカの大学を卒業し、ウォール街でM&Aバンカーをしているとのこと、旦那様も元バンカーであることなど、私たち夫婦との共通項もあったため話はすぐに盛り上がった。 お互いの仕事や子育てについて話しているうちに、彼女は娘のことをもっと聞きたいと言ってくれた。娘は日本の中学を卒業したばかりであること、ダウン症候群があること、これからの娘の進路や人生について何が良いか悩んでいることなど話し出したら、彼女からの質問も止まらなかった。日本での生活や教育について、娘が生まれてから今日に至るまでのこと、なぜ今、世界一周の旅をしているのかなど、興味津々に聞いてくれた。 そのうち、互いの人生観や死生観に触れる話にまでなり、彼女は「ぜひインドで多くのことを見て感じて日本に帰ってほしい。そして、それを日本に伝えてほしい。もし時間があればインドを案内したい。障がいのある子を育てているご友人を紹介したい」とまで言ってくれた。 結局、彼女とは話し足りず、後ろの席に座っていた旦那さまをご紹介頂き、「是非インドでまた会おう」ということになったのだった。その後、SNSのメッセージを通じて丁寧にやり取りしながら、そのご夫婦が住んでいる「グルガオン」という地域にあるDLFゴルフクラブでの夕食に招待されたのだ。調べてみると、そこはアジア屈指の素晴らしい名門ゴルフコースであることがわかった。 ニューデリーのホテルを出発して車で約1時間半、突然、道路の様子が変わる。綺麗に整備された道路になったかと思うと、これまで、多くの車が激しいクラクションを鳴らし、ひしめき合うように走っていたが、気が付けば数台しか走っておらず、とても静かで落ち着いている。道沿いの景色もガラリと変わる。え? このエリアは一体!? そこには、高級感あふれる高層マンションが立ち並び、ショッピングモールに、レストラン……、これまでインドに到着して以来、見たことがなかった景色が広がっていた。 ここが「グルガオン」かーー。 DLFゴルフ場に到着すると、一瞬自分の目を疑ったが、孔雀が歩いている! 孔雀のそばで人々がお酒を交わしている、なんとも優雅な時間が流れていたのだった。レストランでは、料理も各国の美味しい料理(和食まで)があり、娘も見慣れた料理を美味しそうにお腹いっぱいになるまで食べてくれた。 まるで全く違う国に来たような感覚だった。ニューデリーの光景とのギャップに改めて驚かされたと同時に、絵に描いたようなセレブリティが集っている社交場を目の当たりにし、なぜこのご夫婦が私たちをグルガオンにわざわざ招いたのかを理解した。 おそらく、はるばる日本から来た私たちに色々なインドを見せてくれようとしたのではないかと思う。 すっかりご馳走になってしまい、わずか数日前に出会った、見ず知らずの私たち家族にこんなにも親切にしてくれるご夫婦には感謝しかなかった。こうした人と人との関わりで、この国のことが好きになるのだなあと改めて感じた。