写真：こどもとIT

NPO法人eboardは、外国にルーツを持ち、日本語支援を必要とする子供たちを対象とした新しい教材「やさしい算数・やさしい数学」を無料で公開した。同教材は、言語の壁を感じる子供たちが、算数や数学の基礎的な教科概念を学べるように開発したもので、公式サイトから誰でもダウンロード可能だ。 【画像】日本語指導が必要な児童生徒の受け入れ状況などに関する調査（2023年度） 日本語支援が必要な子供たちの数は年々増加している。文部科学省が2023年度に行った調査によると、「日本語指導が必要な児童生徒」は69,123人に達し、過去10年で最大の増加となった。 日本語指導が必要な児童生徒に対しては、学校入学前に教育委員会などによる日本語の初期指導や入学後に通常学級とは別に行われる「取り出し指導」などが実施されている。しかし、eboardが実施したアンケート調査では、一人あたり週4時間の日本語指導を2年間実施する程度にとどまっており、教科学習に必要なレベルには達していないと同団体は想定している。 この現状を踏まえ、同団体は公益財団法人ベネッセこども基金の支援を受け、「やさしい算数・やさしい数学」の教材を開発。この教材の対象教科は、小学校5年生から中学校3年生までの算数・数学で、一般的な教材と比べて言語情報を大幅に削減して図を中心に説明し、子供たちが直感的に学べるように工夫した。 同団体では、これまでにも学びの障壁を取り除くさまざまな取り組みを行ってきた。例えば、映像授業に「やさしい字幕」を追加することで、学習上の困り事を抱える子供たちに配慮した教材を提供している。 同団体が開発・運営するICT教材「eboard」は、約2,000本の映像授業と10,000問のデジタルドリルで構成。全国の公立学校やフリースクール、学習支援団体など10,000カ所以上で導入されており、毎月20～30万人の利用者に学びの機会を提供しているという。