車いすバスケ女子日本代表、パリで踏み出したロスへの大きな一歩
ロスへの課題は“手応え”から“勝利”へ
パリでの戦いは、初戦から5連敗と予想以上に厳しかった。決してすべてが力負けしたわけではなく、ほとんどの試合で勝機はいくつもあった。何度も追い上げ、追いつき、そして逆転に成功した瞬間があった。それは、世界の8強に入っただけの実力が日本にあることの証でもあっただろう。だが、最後に勝ち切るだけの実力や経験値が、日本にはまだなかった。 初戦でチーム最多得点をマークするなど、今大会を通して好調をキープし、シックスマンとして大きな働きをした土田真由美(4.0)は、こう述べている。 「いい試合ができたというのは成長した証。でも勝ち切れなかったのは残された課題だったなと」 敗れた5試合は、いずれも2ケタ差での黒星だったことを考えれば、その課題はもちろん小さくはない。ただ内容からすれば決して完敗だったわけではない。グループリーグ第2戦のドイツ戦は、最大12点差から一時は逆転に成功した。今大会銀メダルを獲得したアメリカとのグループリーグ第3戦は、最大21点差を猛追し、最後は10点差に。銅メダルの中国との準々決勝では最大23点差から12点差にまで詰め寄った。5-8位決定戦予選のイギリス戦も第4クォーターでは何度も5点差に追い上げた。実績からすれば格上の相手を苦しめることができる段階にまで、日本が到達していることは確かだ。次は、いかに勝利へとつなげるかが、4年後に向けての課題となる。 「自分たちは出場国8カ国中8番目」と覚悟し、下剋上を狙った日本のパリでの戦いは7位で幕を閉じた。目標からは程遠い結果となったが、世界最高峰の舞台で戦ったものしか得られない大きな手応えに、選手たちは早くも闘志をみなぎらせている。 「東京の時は正直メダルにどうやったら近づけるのかわからなかった。でも、今は少し見えてきた気がしています。死ぬ気で頑張ったらロスで表彰台に上がれるんじゃないかという手応えを感じているので、ここまできたらメダルを手にするまではやめられません」と北田。財満も「ロス、待っとけという気持ち」と語れば、柳本も「ビジョンが見えたので、ロスでは必ずベスト4、メダルを取って喜びたい」と4年後への思いを語った。 東京2020パラリンピックで3大会ぶりにパラリンピックの舞台に復帰し、今回は4大会ぶりに自力出場を果たした女子日本代表。その歩みは、着実にメダルへと近づいている。
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