11月CPIが追加利下げ期待に影響及ぼすか=今週の米株式市場
[6日 ロイター] - 9日からの週の米株式市場は、11日に発表される11月消費者物価指数(CPI)が相場の鍵を握りそうだ。CPIが予想を上回り、米連邦準備理事会(FRB)の追加利下げ期待に水が差されれば、高値波乱の展開になりかねない。 足元までの株高を支えているのは、米経済が好調を保ち続けている局面でFRBが追加利下げに動くという観測。歴史的に見てそうした展開は力強い株価上昇をもたらしてくれる。6日発表の11月雇用統計も非農業部門雇用者数が予想より大幅な伸びだったものの、FRBに利下げ路線を見直させるほど労働市場の環境が変わったとはみなされなかった。 このため雇用統計発表後の金利先物市場では、17─18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で25ベーシスポイント(bp)の追加利下げが決まる確率は90%弱に達した。 しかし11月CPIでインフレの強さが示されれば、市場の楽観シナリオが脅かされ、株高の流れが揺らぐ恐れが出てくる。 ロイターがまとめた11月CPIの前年比上昇率の予想は2.7%。 ジョン・ハンコック・インベストメント・マネジメントの共同チーフ投資ストラテジスト、マシュー・ミスキン氏は「CPIが強い数字なら株式市場が消化するのは難しくなると思う。FOMC前に多少の不透明感を与えるだろう」と述べた。 ただミスキン氏は、FOMCでは利下げを見送るよりも、来年の利下げ期待を抑制する「タカ派的な利下げ」を実行する可能性があるとの見方も示した。 インフレ再燃の可能性は、トランプ次期大統領が物価押し上げにつながる高い輸入関税を導入する方針という面からも注目度が高まる。 TDセキュリティーズの米金利ストラテジスト、モリー・マクゴウン氏は、FRBがトランプ氏の政策を実際に把握する中で、来年初めに利下げを停止すると予想している。 米株については割高感が強まる中で、楽観ムードが広がり過ぎていると心配する声も聞かれる。LSEGデータストリームによると、現在のS&P総合500種企業の12カ月予想利益に基づく株価収益率(PER)は22.6倍と3年余りぶりの高水準となった。 それでも一部投資家は年末にかけて堅調地合いになると見込んでいる。ネーションワイドの投資調査責任者を務めるマーク・ハケット氏は、今年浮上した弱気材料、例えば労働市場の重圧や金利の急変動、FRBを巡る不透明感などは大きく緩和され、年末までに株価上昇のトレンド反転を想定するのは困難だと強調した。