外国ルーツのこどもたちが急増 学校が休みで日本語に触れる機会激減 その先の懸念
■自治体、教育現場の外国児童対応はまちまち
自治体や学校は外国人の児童にどのように対応しているのだろうか?外国人児童数の多さで都内2位に位置する江東区(2022年調査)。教育委員会教育支援課に聞いたところ、「夏休みだからといって特別な取り組みはない」という回答だった。外国人に限らず教育相談窓口で毎日対応しているという。しかし、対応は日本語のみだ。外国人児童に対する教育支援については、入学時に学校から申請があれば、その児童の母語を話せる講師を派遣しているというが、最初のオリエンテーションのみとなる。今後の支援拡大については「日本全体で外国から来るお子さんも増えているので、いろいろな学校から情報収集中」としている。 では、学校自体の取り組みはどうなっているのだろうか?
■「ねばならない」はちょっと違う
児童の6割が外国にルーツを持つこどもたちだという新宿区立大久保小学校。田中悦子副校長に話を聞いた。夏休み期間についてはやはり「家にいると母国語だけになってしまうお子さんもいる」と懸念し、「学童などに行き、日本語に触れて生活するように声をかけている」という。大久保小学校にはインド、カナダ、韓国、タイ、ネパール、バングラデシュ、フィリピン、ベトナムの8か国の外国人児童が通っているため、夏休みの過ごし方のおたよりも日本語を含めて9か国語分用意して配布。こどもたちの学校生活がスムーズに進むように、外国籍の保護者たちには「日本語のわかる友だちや親戚を紹介してくださいね」と呼びかけている。学校での面談の際に同席してもらい、通訳を頼んでいる。
授業ついて言えば、国語だけは、外国人児童対象の「日本語国際学級」があり、レベルに応じて少人数のクラスで授業を行っている。しかし、国語以外は他の日本人と一緒の通常のクラスで受けているため、「困って過ごしているこどももいると思うので、そういうところのサポートが必要」(田中副校長)。 夏休みの宿題は、児童一人ひとりのレベルに合わせて個別に出す配慮をしているという。外国人児童対応について、今後取り組みを始める学校などへのメッセージは何かとたずねると田中副校長は「『ねばならない』はちょっと違うかな」と話した。「例えば遠足でも、日本では『お弁当は手作りじゃなきゃいけない』と思いがちだけれど、コンビニ弁当でもいいし、どこの国の料理でもいいよね、と」。「誰かが何かできなかったり、違うものを持ってきたりしても、『ダメだよ』『ずるいよ』ではなく、『それでいいんじゃない?』とこどもたちも受け入れるようになっているのが良いと思います」と話す。 まさにこどもたちが、ダイバーシティ&インクルージョン(多様性と包摂)を血肉化している様子が伝わってきた。