外国ルーツのこどもたちが急増 学校が休みで日本語に触れる機会激減 その先の懸念
■「ことば」は自信に影響夏休みに日本語を忘れてしまうと…
学校が夏季休暇中の7月28日、茨城県ひたちなか市の施設には、インドやネパール、フィリピン、中国出身のこどもたちが集まっていた。彼らが参加していたのは、「なつやすみ べんきょうかい」。
ボランティアの助けを借りながら、学校で配られたプリントの確認や夏休みの宿題に取り組んでいた。 主催した「ひたちなか市国際交流協会」の仙波美哉子副会長は開催意図について、「学校の長期休み中、母国語だけの生活になってしまうと、せっかく覚えた日本語を忘れてしまう子もいるので、少しでも機会を提供するため」と話す。休み中に日本語を忘れてしまい、そのせいで勉強への意欲がそがれてしまうというケースも少なくないようだ。もっと日本語支援の機会を増やしたいものの、ボランティアのメンバーは大学生や、本業の仕事を抱える人も多く、「人は足りていない」という。 またこの日、こどもたちに同行した保護者たちは、ボランティアメンバーに学校からの配布物に何が書かれているのかなどを確認していた。母親たちからは「夏休みの宿題が何かわからずこどもに言えなかったが、どういう宿題があるのか今日わかりほっとした。これで、こどもにちゃんと宿題をやらせて学校に行かせることができる」と安堵の声が聞かれた。 「外国の方々は翻訳アプリを上手に活用していますが、それでもプリントの量がとても多いので、全部カメラで撮影して、アプリに読み込ませて、とするのも大変」(仙波さん)。 また読んだとしても、大量の情報の中から何が大事で、何をしなくてはいけないのか、判別するのは大変だという。 仙波さんは、“外国人労働者は以前と違い、家族帯同で来日する人も増えているが、家族の日本語学習は自助努力に任せる形になってしまっている”と指摘し、帯同家族への日本語支援拡充の必要性を訴える。
■ことばの能力は、こどもたちの自信に影響する
一方、この協会で同様に外国人支援に取り組む中島理佳子さんは次のように懸念を示す。 「ことばの問題で、こどもたちの居場所が少なくなっている。こどもたちの自信がつく"場"が少ない。自信をつけてあげる取り組みがあったらいいと思う」。 親の仕事の都合で日本に住むことになったこどもたち。「国に帰れば友だちもいて楽しく遊べるのに、ことばもわからない日本で元気なく過ごしている子がいるのも事実。日本のことを、安心して楽しく過ごせる良い場所なんだなって思ってもらえたら、いきいき活躍してくれると思う」(中島さん)。