佐賀バルーナーズ クラブ代表・ヘッドコーチが語る「地域への恩返し」~田畠寿太郎社長、宮永雄太HCインタビュー~【バスケ】
――クラブで行う社会貢献活動とバルーナーズDAOで実践する活動というのは角度が変わるということですね。 田畠)おっしゃる通りです。皆さんで課題を出して実行するのかしないかもみんなで決めるというところが基本になります。どうしてもクラブがやると自分たちが主体になります。だけど公平性という観点では、こっちを解決したいという意見もあります。非常に新しい意見を聞くこともできますし、さまざまな方が関わるというのは素晴らしいです。まだ立ち上げから1年しか経っていないこともあって、試行錯誤ではありますが、これから幅が広がるはずだと思っています。 ――具体的には昨季、バルーナーズDAOの企画として「若者の日」*を実現されましたね。 *=SAGAアリーナを若者でいっぱいにすることを目的にしたイベントで、22歳以下限定で無料観戦できる試みを実施した 田畠)大学など22歳以下の若者にお声がけして行ったイベントでした。おかげさまで佐賀でもバスケットボールの知名度が上がってきていますが、観戦まではという方も少なくなかったのです。そういった方々が試合を見て「佐賀でこんな体験ができるんだ」「こんなに楽しいとは思わなかった」といった正直な声をいただきました。これは新たなファンにつながる層だと思いますし、もっとできることがあるんじゃないかと思う機会でもありました。何より喜んでもらったというのはうれしかったですね。一方で、オペレーションなどで課題があったところもありますので、ブラッシュアップしていければと考えています。 ――クラブとして、選手やスタッフの社会貢献活動への熱量、意欲というのはどう感じていますか? 田畠)選手にしてもスタッフにしても、非常にありがたい状況であると感じています。一方で理想だとは思っていません。昨年、ボストン・レッドソックスの吉田正尚選手が「選手たちは誰に言われることなく自然と病院を慰問したり、社会貢献活動を行ったりしている」という話をしていたのですが、実際に調べてみるとレッドソックスの経営陣がサポートしてもらえる価値のあるチームを作るというミッションを掲げているからなんだと思います。そういう状況を作るためには、我々フロントやクラブ自体がもっと社会に貢献するというメッセージを強く持っていなければならないと思います。もちろん、1年や2年で変わるものではないので、熱量を持って発信したり、伝えていくという過程が必要だと思います。 ――そういった意味で、活動を重視する宮永HCの存在は大きいですね。 田畠)本当に、今の選手たちの姿勢があるのは宮永HCのおかげだと思っています。選手の一番の仕事はプレーすることと考え、それ以外というと理解を得られないケースもあると思います。宮永HCが「今、バスケットボールができている環境は当たり前じゃないんだ」という思いを持っているからこそ、推進してくれていることに感謝しています。 ――最後に社会貢献活動について、佐賀バルーナーズとして目指す姿を教えて下さい。 田畠)ようやく僕らはB1に昇格することができて、Bプレミアというところも見えてきました。本当にありがたいことです。ただ、これはゴールではなくてスタート地点であり、多くの方の助けがあったからこその話なんです。よくスタッフには、「みんなに貢献していくことで、最終的にクラブにそれが返ってくる」と言っています。ただ、まだトップクラブといえる体制が整っているわけではないですが、地域に恩返しが出来るフェーズになったと思っています。少しずつでも恩返ししていく、地域貢献していけるようにやっていきたいです。