柔道・新添左季さん「自分に花丸をあげたい」 23年世界女王、晴れやかな表情で現役引退を報告
パリ五輪柔道女子70キロ級代表で新添左季さんが7日、グランドスラム(GS)東京大会の会場の東京体育館で取材に応じ、現役引退を正式に報告した。個人戦で7位だったパリ五輪後に「このまま終わっていいのかなと少し考える時間をもらい、結果だけを見るんじゃなく、それまでの過程を振り返って『自分頑張ったんじゃないかな』と思えた」と明かした。新添さんは先月に全日本柔道連盟に強化選手辞退届けを提出していた。 柔道を始めた小学生の頃は試合に出るのを怖がり、会場から逃げ出したこともあった。高校卒業時や東京五輪代表を逃した後など、柔道を辞めることを考えた時も何度もあったが、昨年の世界選手権で優勝し、パリ五輪では個人戦でのメダルは逃したが、混合団体で銀メダルを持ち帰った。柔道人生を「体を動かすのがあまり好きじゃないタイプ。そんな人間でもここまで続けて来られた。自分で今、一番驚いている」と振り返った。 自身の中での目標も達成した。目立つのは好きではなく、ひそかに目指してきたのは「地味に強い選手」だったという。「あの人、目立たないけど地味に強いよね、みたいな感じで言われたいと思っていた。昔から考えていた理想像になれた気がするので、自分に花丸をあげたい」と晴れ晴れとした表情だった。 引退を決めた後は所属先の自衛隊でコーチに就任しており、今後は指導者の道に進む。「私は不器用で教えてもらったことがすぐできなかった。得意なことはやりたいけど、苦手なことはやりたくないみたいなタイプなので。そういう選手をうまく導けるような指導者になりたい」。新添さんならではの経験と感性を生かし、後進を育てていく。
報知新聞社