次世代3次元デバイスの原子レベルでの等方性加工に対応したDCRエッチング装置を発売
日立ハイテクは2024年11月27日、ドライ環境下での化学反応を利用し、縦横全方向にエッチングを進展させるDCR(Dry Chemical Removal)エッチング装置「9060シリーズ」を発売すると発表した。 同装置は、真空容器内でガスを乖離させ、イオンや化学反応を用いて微細パターンを加工するプラズマエッチング技術やノウハウを活用し、先端半導体デバイスで採用される高アスペクト3次元構造などに対し、ドライ環境下で精密に制御された水平方向への加工(等方性エッチング加工)を実現する装置として開発した。
9060シリーズの特徴
通常、ドライ環境下で化学反応主体の等方性エッチング(水平方向に均一なエッチング加工)を行う際には、低温域でのラジカル(不対電子を持つ原子や分子)吸着と高温域での熱脱離を交互に行う必要があるため、加熱と冷却に時間がかかってしまう課題があった。 そこで、9060シリーズでは独自のウェーハ冷却機構と赤外線ランプを1つの真空リアクターに搭載することで、低温域から高温域まで被処理ウェーハ温度を短時間で変化させる機能を実現。これにより、さまざまな材料に対応した高スループットな等方性エッチング処理および装置の低フットプリント(装置の占有面積)化を可能にした。 同装置では、ウェーハ冷却機構と赤外線ランプを活用した加熱冷却による等方性加工に加えて、日立ハイテクの強みであるプラズマエッチング技術を活用することで、表面反応を高速かつ高精度に制御した等方性加工に対応。これにより、微細な3次元構造加工で要求されるパターン開口部やパターン底部の形状制御を原子レベルで行う技術の提供が可能になりました。 同社は、9060シリーズをはじめとする高度なエッチング装置および技術を提供することで、顧客の半導体デバイスの開発/量産における多様な加工ニーズに対応していく。
9060シリーズの開発背景
近年、さまざまなメーカーで半導体デバイスの微細化が進められている。集積回路の加工寸法は数nmレベルに到達しており、エッチング加工については原子層(オングストローム)レベルの加工制御性が求められるようになっている。 また、半導体メモリデバイスでは、高密度化のため3D-NAND構造や3D-DRAM構造など、素子構造の3次元化による集積度の向上が図られている。3D-NANDは不揮発性フラッシュメモリの1種で、メモリセルを平面のみでなく垂直にも並べることでストレージ密度を高めたフラッシュメモリだ。3D-DRAMは、揮発性メモリの1種で、垂直方向にビットを格納することで高密度化を実現している。 これらの取り組みに伴い、半導体メモリデバイス製造におけるドライエッチングプロセスでは、従来の異方性エッチング加工(垂直方向のエッチング加工)の他、原子層レベルで精密に制御された等方性エッチング加工が求められている。こうした背景から、日立ハイテクは9060シリーズを開発した。
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